熱く艶やかに麗しく「モアー・ダンディズム」

【2021-12-25】
観劇感想

みきちゃん(真矢みき)お披露目の初演「ダンディズム」を劇場で観ています。

この大好きなロマンティック・レビューをこっちゃん(礼真琴)率いるエネルギッシュな星組で観ることができる幸せよ。

やっぱり劇場で観るって最高!

印象的なシーンを思いつくまま順不同で書きなぐります。

オープニング

幕開きの大階段カラースーツ!

おおぉ!ダンディズムだわ〜。懐かしい。

色合いが初演と比べて少し秋色です。

そして、どのラインを見るべきかむちゃくちゃ悩むけれど、パッと目に入ってきたのが青チームはるこ様(音波みのり)。

やっぱりね。
はるこ様のシックでエレガントな動きはすぐ目に飛び込んでくるわ。

よし!今日は青だ!

といってもただ一度きりの観劇で次の機会はないのですが。

でも目をウロウロさせて結局誰もしっかり見ることができないままで終わるより、ここぞと見定めたほうがいいと心に決めました。

すぐそばで踊るせおっち(瀬央ゆりお)も一緒にオペラに入ってくるからとっても私得です。

はるこ&せおっちの並び、いいなぁ。大人だなぁ。

ピンクの衣装のなこちゃん(舞空瞳)登場!

超絶スタイルに改めてびっくり。

りさちゃん(純名里沙)の記憶が強いので、なこちゃんのお顔の小ささ、十等身バランスに遠近感が狂うわ〜。

そして真っ赤に燃えるこっちゃんが空から降りてくる!

こっちゃん、熱くて、そしてダンディ!艶々のいい声だぁ!

最終的にはオレンジのあいちゃん(愛月ひかる)見たり、緑のあかさん(綺城ひか理)見たり、目がウロウロ大忙しでした。

結局そうなるよね。

ミッション

このレビュー唯一の悲劇的な場面。

大切なメッセージが書かれた文書を人々がつないでいく。

そこには何が書かれていたんだろう。

セットに映し出された文字はちょっとキリル文字っぽい感じだったかしら。

大陸のどこかにある少数民族の人たちが自分たちの文字で書かれた文書をつないでいくことで大国による民族浄化に立ち向かう。

そんなストーリーが思い浮かぶようなダンスでした。

こういう緊迫感漂うハードなダンスはことなこコンビにピッタリですね。

ビューティフル・ラブ

大きなつばの帽子をかぶった娘役さんの場面。

ほのかちゃん(小桜ほのか)の夢見るような表情が大好き。

そして、一番左側はあまねちゃん(澄華あまね)ですね。

スカステでみた「龍の宮物語」の少年笹丸がとでも印象的だったけれど大きな舞台ではなかなか確認できなかった。

ようやく娘役さんらしい姿で微笑むあまねちゃんを見つけられた。

特徴的なお耳も、帽子を彩るレースの奥にちらりと見えてすごく愛らしいわ。

少し目と目の間が離れ気味のファニーな娘役さんって大好きなの。

やっと会えたのにこれで卒業なのは寂しいな。

キャリオカ

壮大な曲調でシリアスに始まるの?と思ったら急に軽快なラテンに切り替わるキャリオカ。

初演のみきちゃんの登場シーンはその切り替わりの瞬間、ふっと崩すような感じで、遊びというか、おちょくるというか、その意外な展開がたまらなく好きでした。

こっちゃんはここをどう表現するのかなぁ〜って楽しみにしてました。

崩しはなかったわ。

ひたすらかっこよく情熱的。

なんかこっちゃんって炎とか火の玉って気がするな。

ここはふっと観客の緊張を解いてもいいんだよって思ったりもしました。

でもその100%ド直球でハイクオリティなソング&ダンスはやっぱりこの人でなければ不可能なわけで、もうこのままでもいいのかな。

ここは亡き山田卓先生の振付。

振り数は多くはないけれど音楽とリズムを感じる粋なステージダンスです。

クラシカルな空気感を表現しつつ、リズムを際立たせてカッコよく踊りこなすためにはごまかしの効かない高いダンスの技術とセンスが必要なんだよね。

巨大スタジオのセットで撮影された往年のハリウッドミュージカル映画のようにゴージャスでスペクタクルな人海戦術のダンスはバキバキ踊ってきた体育会系星組としては経験がなく、こっちゃんも初めてのニュアンスではないかと思いますが、さすがです。

やっぱり見惚れるわぁ。

そうそう、後半の総踊りテンプテーションは昭和感たっぷりの濃厚なダンスだけれどすごく似合っていた。

こっちゃんって意外に古典的というか、昭和ジェンヌのような濃さがあるんだな。

ハードボイルド

せおっちとあかさんの男二人のタンゴ。

この場面、初演のビデオも雪組「パッション・ダムール」の録画も何度見たかわからないほど。

星組の二人はダンサーではないので見る前はちょっとドキドキでしたが、やるせない表情にブエノスアイレスのさびれた薄暗い石畳の裏町を感じました。

ヒタと身を寄せてはいるけれど視線が交わることはなく、愛とそれゆえの哀しみだけが交差する。

ダンスで周りの風景までが感じられるってすごい表現力だと思う。

この二人の泥臭さに比べると雪組のるいくん(眞ノ宮るい)とあがち(縣千)は若々しく、ダンスの切れ味も鋭くて潔癖。清潔感が漂うのね。

もちろん、どちらも好きよ。

その後の二組の男女ペアのタンゴで右側はおとねさん(紫月音寧)

これよ!私の好きなタンゴは!

しなやかで色っぽいけどどこか禁欲感も漂うダンス。

そして男像群舞では前髪バッサバッサさせて踊るかなえさん(漣レイラ)に釘付けでした。

ガタイの良さ、重心の低さ。
重量感がありながらも動きは軽やか。
かと思えばネットリと腰を回すし。

もう、とにかく素晴らしい。
これぞ、ザ男役!

そして、あいちゃん!

「薄紫のとばりの向こう」はうたこさん(剣幸)の「ラ・ノスタルジー」で歌われた曲ですね。懐かしいな。

紫色のガウンをまとったあいちゃんが歌う優しい花の名前の数々。

勿忘草か リアトリス 菫 露草 風鈴草
都忘れか おみなえし 山吹 桔梗 ラベンダー

透き通るような白い肌。柔らかな表情が本当に美しい。

皆さんお忘れかもしれませんが、あいちゃんはもともとは涙の似合う柔らかい男役さんだったのよ。

こういう切なさに胸がぎゅって締め付けられるようなあいちゃんが見たかったのだ。

想い出は薄紫の、薄紫の帷の向こう

あぁ、でもまだあいちゃんを薄紫の想い出になんかしたくない。もっともっと見ていたかったんだよぉ〜。

と涙していたら、ゴールデンデイズで白軍服のあいちゃんに会えました。

まさにルドルフだ!

「うたかたの恋」に憧れていたのですね。本当に似合う。
実現してほしかったな。

もし「エリザベート」の時ルキーニではなくルドルフだったら、あいちゃんの運命はどう変わっていただろうか。

いや、これまでの道のりの全てが今のあいちゃんを創り上げたのだ!本当に見事だ!

そしてついにフィナーレが来てしまう。

ドレープたっぷりな衣装をまとうあいちゃん。美しい!

あの幾重にも重なったドレープの重みを羽根のようにふわりとまとうことが出来るのもあいちゃんの恵まれたスタイルと磨き上げた男役芸があればこそ。

「アシナヨ」は蘭寿さんのサヨナラショーでも聞いた曲。

あぁ、本当にサヨナラなの?

温かみのある歌声にあいちゃんのこれまでの長い努力を感じます。

このロマンチックレビューで思う存分麗しのあいちゃんを堪能できて本当に嬉しかった。

どのシーンでも透き通るように美しく堂々として、だけど優しさに溢れていて。

これぞまさしく、あいちゃん!という集大成でした。

たった一回だけど劇場で見届けることができて良かった。

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