懐かしの新人公演特集8

【2021-02-24】
スカステ視聴記録

観劇ブランクで失われた15年を取り戻すべく、引き続き懐かしの新人公演をぼちぼちとスカステ録画観賞中。タイトル/組/主演/作演出/新公担当演出として記録します。

「薔薇の封印」/月/北翔海莉/小池修一郎/小柳奈穂子

みっちゃん(北翔海莉)の新公主演の本役さんが主にりかちゃん(紫吹淳)だったとは知らなかったなぁ。

今回は耽美的雰囲気のあるヴァンパイア物。

少女漫画からぬけでたような世界観を演じるのはみっちゃんにとっても大人っぽいあいあい(城咲あい)にとっても持ち味を封印されたようなものかも。

技術的にも芝居心も素晴らしくってほんと申し分ないのに、キタキタこれこれ~~!とならないのも新人公演のめぐり合わせか。

なかなか難しいね。

そしてみりおちゃん(明日海りお)がちょっと目立つ役で登場!

ソロ歌もあるのだけれど意外にもまだ歌うまさんではないことにびっくり。最初から歌える人たとばかり思っていた。

ここからあんなにも安定感と芝居心に溢れた歌を歌えるようになったのかぁ。すごいなぁ。

「1914/愛」/星/柚希礼音/谷正純/児玉明子

キタキタ~~~~~!

着々とステップアップを見せてきたチエちゃん(柚希礼音)がついに大きく花開いた瞬間を見たように思います。

スケールの大きさ、放つ陽のオーラ。

少し口跡が甘いことと、挨拶になるとワタワタしちゃうところだけが下級生なのですが、なんと終演後、鳴り止まない拍手に幕前に出てきてでご挨拶。

すごくないですか?

でもこれは本当に拍手喝采をおくりたくなる舞台でした。

チエちゃんの本役さんはわたるくん(湖月わたる)だったのね。

同じくスケールの大きい持ち味で、しかも芝居の上手いわたるの役を演じることはチエちゃんにとって大きな糧となったことだろうな。

そしてみなみちゃん(南海まり)がお嫁さん候補のオリガ役で場をさらっていました。

この役まいまい(仙堂花歩)が信じられないくらいの超高音を響かせる場面があり、これ新人公演ではどうしたんだろうって思ってたんだわ。

みなみちゃんは独特な蛙声で朗らかに歌い切りました。

蛙声といってもなんとも可愛らしくって、歌う歓びに溢れている感じがとってもポジティブ。

夢を持つことの素晴らしさを描くこの舞台にとてもいいアクセントをもたらしていました。

この作品は宝塚らしさが満載で華やかなレビューのオープニングもあるし、主要な役以外にもいろんな人の見せ場も多くて下級生にとって演じて嬉しく、楽しく、そしてとても勉強になったことでしょう。

新人公演というシステムの素晴らしさを再認識することが出来た素敵な作品でした。

「飛鳥夕映え」/月/北翔海莉/柴田侑宏・大野拓史/児玉明子

この作品ももちろんブランク時期なので実際の舞台は見てないのですが、大好きな万葉ロマン。

大化の改新(って最近は言わないらしいですね)で暗殺される蘇我入鹿が主人公っていう視点がいいよね~。悪役フェチの血が騒ぐ。

暗殺される入鹿は大豪族の悪役として描かれることが多いけれど、国際的視野を持つ大変才能のある人だったのよ。

本役のさえちゃん(彩輝直)の入鹿は才がありながらも、ふとしたはずみに妖気のようなものが匂い立っていました。

この人が国を動かしたらいつか恐ろしいことが起こるんじゃないかという禍々しくも美しい色気。

さえちゃんって形はいびつだけれど深い色がテラテラと輝く大粒のバロック真珠のような人なのよ。

一方みっちゃん(北翔海莉)は真円の真珠。

バランス感覚があり白くてきちんと整っている。しっかり者で間違いなく国を動かせちゃいそうな気がします。

あぁ、みっちゃんはこういう耽美なトップさんの役にばっかりあたってたのかぁ。

しかし男役の色気っていったい何をどうやったら出るものなんだろう。

よく下級生がスカステの番組で質問してるけど、本当に不思議だよ。

「La Esperanza」/花/未涼亜希/正塚晴彦/正塚晴彦

なんてことない物語なんだけれど、登場人物がみんな温かくて好きな作品。

まっつ(未涼亜希)は芝居がうまいし、会話のテンポがとてもよくってレベルの高い新人公演でした。

下級生の頃から割とエキセントリックな役が多かったあすか(遠野あすか)が等身大の女性をナチュラルに演じていてすごく魅力的だわ。ほんといい娘役さんだなぁ。

なんで花組でトップ娘役になれな…。うむむ。もう言うまい。

だって結果オーライだもん。

冒頭のタンゴを踊るダンサーの中にひょろひょろでリフトに手こずるまあくん(朝夏まなと)発見。

ちょっとだけ目立つホテルのチーフ役がついているもののまだ役名はないのね。いつから頭角を表したんだろう。

これからの新人公演の放送も楽しみだわ。

タンゴといえば終盤でまっつと組んで踊るみほさん(舞城のどか)が激かっこよかった。

あぁ、この人のダンスを思う存分舞台で見たかったなぁ。

そしてきりやん(霧矢大夢)が演じたオジサマが大好きなので新人公演では誰が演じたんだろうって気になっていました。

そのか(桐生園加)だったのね。なかなかの好演!粋なオジサマでした。

観劇ブランク中ではあるけれど、花組時代そのかの存在は知っていました。

その頃観劇したのはエリザベートだけだから、たぶん黒天使で見たんだろうけど、踊れる子だわ!って思ったの覚えています。

観劇復帰したばかりのころに退団してしまって、あんまり舞台を見ることが出来なかったのが残念。こんなに芝居もできるとは知らなかったよ。

「花舞う長安」/星/柚希礼音/酒井澄夫/酒井澄夫

おぉ~。ついにチエちゃん(柚希礼音)にも若さと勢いで押し切ることのできないやつが来たか!

中国公演で楊貴妃の再来と評判だっただんちゃん(檀れい)にまさしくそれを演じてもらおうという企画のみで作られたような気がする作品。

かつては名君だった玄宗皇帝が楊貴妃ゆえに堕落するというストーリーでは男役のかっこ良さを出すのはなかなかに難しいわけでして。

これは人生の酸いも甘いも表現できる大人のトップさんならではの演目です。

堂々たる体躯で演技にも大きさがあり、ちゃんと皇帝に見えるというのはさすがチエちゃんでしたが、やっぱやっていることは色ボケなので…。

それを胸を焦がすような想いとか、皇帝ゆえの哀感とか、そんなふうに表現できる力はやっぱまだまだって感じかな。

「青い鳥を捜して」/雪/音月桂/石田昌也/鈴木圭

緩めのドタバタコメディ。

セリフのテンポ感とともにコメディセンスが問われるから新人公演としては難易度が高いかも。

もはや主演として手慣れた感のあるけいちゃん(音月桂)。

もちろんちゃんと上手いわ。うん。上手いのはもうわかってる。

面白かったのはヒロインのとなみ(白羽ゆり)。

ダメ男を次々好きになってしまうというどこか隙だらけの女性を好演。

パーフェクトな人間よりダメな部分をさらけ出しちゃう人に心惹かれるんだよね。

だから芸事でもしっかりと技術を磨き、高いパフォーマンスを出しつつもどこか余白を残す。そんな人が好きなんだな。


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