LIVE配信感想
今年の1月、全日程中止となった「ODYSSEY」
心血を注いで作り上げたにも関わらず一度も誰にも披露することが出来ないままの中止はあまりにも残酷で、あのときの無念の思いは忘れることが出来ません。
チケットも持ってなかった私でもショックだったのに、出演者・関係者の方々はどれほどの苦しみだったでしょうか。想像しただけで胸が潰れそうになります。
それでも、いつかきっと再演の機会を設けてくれると信じていました。
とはいえ会場は梅田芸術劇場へと変更され、おそらく劇場の構造もイメージも当初考えられていたコンセプトからは変わってしまったところもあったでしょう。
当初の東京フォーラムはガラスの吹き抜けがまるで船のような構造でしたものね。
あの劇場で上演する予定だったからこその世界観だったのかもしれません。
しかもこの作品で卒業することになっていたダンサーのぶっちーくん(琥白れいら)は退団時期を延期することなくそのまま劇団を去り、メインメンバーとして大活躍が予想されていたあやなちゃん(綾凰華)はその次の大劇場公演で卒業。
お二人共、この夏の公演には出演することが出来ないことが胸に重くのしかかりました。
そして、こちらはめでたいことではありますが、そらくん(和希そら)は「心中・恋の大和路」に主演。
他にも実力者すわっち(諏訪さき)、若手ホープのりぴー(紀城ゆりや)、魅力的な声の持ち主みちちゃん(愛陽みち)が心中組へ移動になりました。
舞台は一旦中止になれば全く同じ形で再演なんて不可能なのです。
どんなに不条理でも、どうにもならないのが切なかった。
それでも、新たなメンバーを乗組員に加え再びの船出を目指してくださったこと、
どれほど注意をはらったところで見えない脅威から逃れられないこの状況のなか、中断も中止もなく全員で全日程を駆け抜けられたこと、
正直、今でも信じられない気持ちでいっぱいです。
だって月組大劇場も花組東宝も、そして雪組の心中までもが中止を余儀なくされてしまった。
上演を続けられているのは、かつて全日程が中止になったこの「ODYSSEY」のみ。
遠征することが叶わなかった私は宝塚からのお知らせに怯えながら千秋楽のLIVE配信を祈るようにして待っていました。
こうして無事、千秋楽の配信を見ることが出来た今でも「あれは幻だったんじゃないだろうか」って気がします。
信じられないくらい美しく、尊く、そして輝いていた幻。
終幕後のさきちゃん(彩風咲奈)が静かに涙を流しながら言葉を絞り出すように語ってくれた姿を見て、ようやくこれは現実なのだと我に返りました。
けっして消えることのない辛く苦しい思いの上に成り立った儚い夢のような、でも確かにあった現実。
そんなわけで、何かすこしでも記録に残しておかなければ、ますます忘れてしまうとは思うのですが、なにせまるで幻を覗き込んだとしか思えない感覚で...。
「ル・サンク」が届くのを待ちながら、時間をかけて少しずつでも何かを書き留めておこうかなって思ってます。
ただし、届くの9月なんですよね。果たして思い出せるかどうか。
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