スカステ視聴記録
チケット手に入らなかったのです。
なのでスカイステージにて初鑑賞。
ここのところ低空飛行の藤井大介先生ですが、ちえちゃん(柚希礼音)退団公演ということでさすがに気合が入っています。
楽しかった。
冒頭リベルタンゴ
もうさんざん使われている曲ではあるけれどやっぱり良いわ。
こんな風に静かに始まり、次第に高まっていく演出。カッコいい~
振付も最高ですね~。
続いて初舞台の新人公演で演じたドアボーイが振付もそのままに銀橋で踊られて、あぁ~、レジェントと呼ばれた大スターさんのここがスタートだったのね。としみじみ思いました。
でも、映像で見たその頃とあんまり変わらない気もする。
退団とはいえ、やっぱり若いスターさんなのだなぁ。
さてさて実はこのシーンでとんでもなくびっくりしたことがあるのです。
それは銀橋の歌で
夢は最高級のクラブでナンバーワンホストになる!!
みたいな歌詞があったこと
ホ・ホストですかぁ~~~~!!
そうか~。いまはホストなんだ。
こういう職業を表す言葉として宝塚が使ってきたのが
ジゴロ
もちろん宝塚以外ではあまり聞いたこともないし、実際にお会いしたこともないです。
こういう方が、もし身近にいたとしたらジゴロとは呼ばずに~
やっぱりホスト…とか、ヒモ…とか
言うのだろうなぁ。
でも、それじゃぁ、元も子もないですよね。
ジゴロというのは究極のファンタジー世界である宝塚における究極のファンタジー職業。
そのお相手は日本にはいない上流階級の奥様に限られるわけですから今回のようなミススカートのキャピキャピギャルのお相手ならホストが必然なんだろうけど…。
身近にはいない、見たこともないジゴロのイメージなんてもう、今の人たちには、ピンとこないのかもしれません。
かつてディズニーランドもユニバーサル・スタジオ・ジャパンもない時代、宝塚は家族のレジャー施設でした。
動物園を見て、ジェットコースターに乗って、ちょっと美味しいもの食べて。
そしてレビューを観る。
そんな家族みんなが楽しめて、なおかつお母さんやお姉さんがドキドキと心をときめかせる事ができる危険な存在がジゴロと呼ばれるどことなくレトロな架空の美しい人々だったわけです。
たとえ身近には存在しなくても、おそらく文学少女でもあったであろう母さんやお姉さん達は想像とロマンの翼を広げることができたのですね。
あぁ、でも宝塚ファミリーランドはなくなってしまいました。
レジャーのあり方も人それぞれ多様化していって宝塚もターゲットを広げていかなければ生き残っていけない時代になりました。
そんな今、経済界が消費のターゲットとして注目しているのが
「マイルドヤンキー」や
「ライトなおたく」
と呼ばれている人達らしいです。
オペラなどと違って大衆演劇でありながら観る人が限られている感のあった宝塚歌劇の裾野を広げるには、これらの人々を取り込むのが最も有効だと考えられたのかもしれません。
「ライトなおたく」は「銀河英雄伝説」「ルパン三世」「るろうに剣心」で取り込みを成功させつつあると思います。
そして
EXILEが好きで…ヒョウ柄ホストのギラツキ感!
地元を大切にし…フィナーレにはお神輿だよ!
家族を愛し…サヨナラショーでは「ちえちゃん」でお茶の間再現!
ヤンチャだけど意外に礼儀正しく体育会系の仲間意識が好きな…大運動会で優勝!
そんな、マイルドヤンキーマインドを持つ人達にとって地元ではちえちゃんという飾らない素顔を持つ柚希礼音というゴージャスなトップスターは、とてもしっくり来る存在であったのではないかとこのショーを観て思いました。
もちろん職場も買い物も全て地元で完結する私もマイルドヤンキーの成れの果てであるわけで。
でもなればこそ逆に、劇場に一歩入った時だけは、そんな浮世の自分を忘れ非日常の世界に浸りたいと思っているのですが…。。
そうなると、なんだかキャバ嬢のホスト遊びを連想してしまうようなパーリーピーポーなダンスシーンとか、客席をぐるっと一周しながら歌われるなんの飾り気もないストレートな思いが平易な言葉で綴られた、自身が作詞した「たからづか」(平仮名だよっ!!)というバラードとか。
そんな、どことなく通俗的で身近な世界観は15年のブランクの後、宝塚観劇を復活させたような古い人間にとっては実を言えば、なんだかちょっと違うんだけどなぁ~という気がしてならないのです。
それでも新たなファン層を大量に取り込み、コンサートではタカラジェンヌという虚像ではなくちえちゃんという素顔を全面に出しても、いや、それなればこそ観客を大熱狂させるなど、これまでのタカラジェンヌとはひと味違ったひとつの時代を作った柚希礼音というスターはやはり稀有な存在だったのだと見せつけられたような、パワフルなショーでした。
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