観劇感想
染みました。
心にズンと染みました。
人生も後半だいぶ進んじゃったわが身にとってはとても切なく、とても苦く。
そしてとても美しい話でした。
私にだって若い時はあったし、なんの根拠もないのにきっとキラキラした未来が待っていると思ってた。あほやな。
なのにどうしてこうなっちゃったんだろうね。いやまぁ色々自業自得なんだけど。
何も成し遂げることなく。誰からも称賛を浴びることもなく。
もちろんいい事も悪い事もそれなりに色々あったんだけど。会社行って、なんとなく仕事して、そしてまた月曜日会社行く。途中には至らぬ子育てもとりあえずして。
そうこうしているうちに30年くらい経っちゃった。
でもそんな私の人生にほんのひとときとはいえ美しい彩りを与えてくれる宝塚があって本当に良かったよ。
1幕終わりの薔薇が敷き詰められた部屋。
だいもん(望海風斗)演じるヌードルスのあまりにも純粋であまりにも身勝手な愛の告白。
デボラのまあやちゃん(真彩希帆)の愛する苦しみを湛えながらも凛と意思を貫く美しさよ!
ヌードルスの腕から逃れて立ち上がった瞬間、その白いドレスの裾に偶然2,3枚まとわりついていた深紅の薔薇の花びらがなぜか強く印象に残りました。
ヌードルスの思いと同じように赤く重く深い色。
それが走り去るときにするりとドレスからすべり落ちて。
そこにあったはずの色濃い出来事も、次の瞬間にはあの赤い薔薇の花びらのごとく流れ去ってしまう。
ほんの1秒前まで目の前に存在したデボラは永遠に失われる。
薔薇を巻き散らしたソファーで天を仰ぐだいもん。
苦く、哀しく
そして美しかった。
本当に人生はままならない事の連続だよね。思い描いた未来はほとんど手に入ることはなかったわ。
そういえば小池先生。ちょっとばかし私より年上。
存分に富と名声を得ているであろう彼とて、やはり少しはこの思いに至るのかなぁ。
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