観劇感想
今週末に大千穐楽を迎える「今夜、ロマンス劇場で」
全日程を無事に完走する事が出来そうですね。
とても素敵な作品でした。
惜しむらくはあの総天然色となったラストシーンに劇中映画の全出演者が勢揃いしていないこと。
だってかなりのインパクトがあった大蛇丸の従者二人組のうちの一人だけが出てないんだもの。
ショックだよ。あのコンビ大好きだったのに。
じゅりちゃん(天紫珠李)がなんとか着替えて出られるように演出の工夫をしてくれていれば本当に文句なしの大団円なんだけど。
まぁ、真ん中だけ観ていれば気がつかなかった事かもしれないので、ここは泣く泣く諦めるしかないのか。
でも「わー!色が付いてる!」ってモノクロ映画チーム一人一人を確認しちゃうよね。
なんだかジグソーパズルのピースが一個足りない事に気が付いた時のような、それは小さくても決定的な欠損のように感じました。
臨終の患者そっちのけで原稿を読む看護師を描くことより、ほんのり血色が良くなり、差し色が加えられた衣装を着た雨霧を登場させることの方が大切だと思うのだが。
ホントここは惜しい。
そして「色」といえばもうひとつだけ、どうしても、どうしても!気になったことがあるのだ。
美雪姫はモノクロ映画から外の世界に出て、初めて色を知ることになります。
それがこの作品の肝であり、あの美しいラストシーンの伏線でもあります。
なので美雪♪うみちゃん(海乃美月)が塔子さん♪みちるちゃん(彩みちる)と会話した後の銀橋で
夢見た世界は
色彩にあふれ
って歌いはじめるのですよ。
とても切なくて美しいメロディ。ストーリーの上でも大切な曲です。
なんだけど〜。う~むむむ。
この「色彩」という言葉はあまり詩的ではないよね~。
歌を劇場で聞いた時、耳に入ってくる語感が美しくなくてちょっとびっくりした。
美雪にも、この歌の心情にも合ってない気がする。
小柳先生か~。
良い演出家さんなのですが、私にとってはどこか噛み合わないことが多くて…。
言語感覚に優れた生田先生や上田先生だったら、ここでこういう漢語は絶対使わないだろうなぁ。
齋藤先生だったら使うかも。
「渇望 渇望 渇望 渇望 勝利への渇望~~」って何のショーだったっけ?
かおりさん(晴華みどり)のエトワールが素晴らしくて大好きなのだけれど「渇望」って連呼したのには驚いた。
もちろん今時の歌であれば、あえて違和感のある硬い言葉を使うことでエッジを効かせるのはありだと思う。
でもこの芝居、1964年が舞台なんだよ。
ポストの赤
カラフルなキャンディ
甘い苺シロップのかき氷
空にかかる七色の虹
美しい色をひとつひとつ見つけていくときめきと、その為の代償の切なさを語る歌には「色彩」という硬い漢語ではなく、たとえば
「彩り」
という柔らかな大和言葉をどうして使ってくれなかったんだろう?
「彩り満ちる」
って雪組ファンにとって、そして月組ファンにとっても、めっちゃ馴染みがある言葉なんだけどな〜。
よい作品だっただけに、こういうちょっとした事がとてもとても惜しい気がするです。
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