観劇感想
原作映画は未見です。
大劇場千秋楽のLIVE配信が全くの初見で「なんて切なくって、なんて美しい話や~」と涙を流しながら画面を見つめておりました。
が、見終わってみると本当にハッピーエンドなんだろうか?
むしろなんて残酷な恋物語だろうって。って思えてきた。
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これはもし劇場で健司と美雪の感情にどっぷり浸かりながら観てしまうと胸が苦しくなりそうだぞ。
と、いうわけで観劇時には心に自己防衛規制が働いてしまった。
健司と美雪の切ない恋物語より、この舞台に出てくる楽しい映画に全集中。
LIVE配信を見た弊害というか、まったくの初見ではないからストーリーを追わなくても舞台を楽しむことができちゃうんだよね。
たった1回きりの観劇、ちょっともったいなかったかなぁ。
トンチキ映画その1 「怪奇!妖怪とハンサムガイ」
そんなわけで、「怪奇!妖怪とハンサムガイ」ってどんな映画なんだろうってワクワクしながら舞台を観てました。
「ハンサムガイ」全シリーズ見た~~~い!
どれも俊藤♪ちなつさん(鳳月杏)がひたすらかっこいいトンチキ映画なのは間違いないと思う。
私、宝塚でもトンチキ作品に割と甘いんだよね。
いやもちろん名作や佳作が観たいんだよ。
でも昔なんてトンチキ作品の嵐でしたよ。
そんな中で柴田侑宏作品のなんとしっかりした内容よ!っていう時代でした。
昔を知るものに言わせれば「異ルネ」「アウグストゥス」「柳生」どれもよく出来た作品だわ。
麻実れい・遥くらら主演「ブルージャスミン -砂漠の愛-」とか 大地真央・黒木瞳主演「翔んでアラビアンナイト」とかを今上演したらどうなるかの~~~。
内容も演出も某邪馬台国が名作に思えるほどハラホロヒレハレ(死語)でしたわよ。
しかも思い返せば、若手のかっこいい男役達やかわいい娘役達に全然いい役がつかなくってだなぁ。
あのころは一人っ子政策だったのかな?(雪組は杜けあき、月組は涼風真世の一択ね。)
というより専科とベテランにやたら手厚かったよね。
演技力はさすがに素晴らしかったけど、内容が内容なので名優の無駄遣いだったわ。
けれどもトップコンビは超絶美男美女。
ゴージャスで目が潰れるほど麗しかった。
いや、だいぶ話がずれたけど。そして邪馬台国、実は結構楽しかったんだけど…。
つまり、「ハンサムガイシリーズ」ってきっと、そんなふうにストーリーの整合性とか登場人物の心理の流れとか、そんなもん全てを超越した、なんでもありの痛快トンチキ映画なんだと思っている。
なぜか突然ド派手なミュージカルになった「怪奇!妖怪とハンサムガイ」
ちなつさんが羽を背負って歌う「レッツ輪廻」が好きすぎて、今もずっと頭の中でぐるぐる流れてるよ。
「成仏の時間だぜ!」
くぁぁぁああああっこぃぃいいいいい~~~~。
なんであんなに奇妙キテレツな扮装で変なミエを切っているのに、こんなにもかっこいいんだろう。
その上、俊藤の相手役の萩京子♪さちかさん(白雪さち花)が無言で迫ってくるのがキョーレツでたまんなく好き。
熟した女優ならではの鷹揚さとトンチキが絶妙に混じり合うグラマラスな萩京子がハンサムガイシリーズには必ず登場するのね。
謎の妖怪ダンサーズはワラワラ絡んでくるし、りりちゃん(白河りり)のパワフルな歌声も素晴らしかったわぁ。
スモークをガンガン焚きまくった悪魔祓いのシーンも摩訶不思議だけど、ラストにはなんの脈絡もなく歌舞伎の連獅子の格好で重々しくクランクアップ。
え?いったいどういうこと?ミュージカルだったんだよね?
ストーリーもなにもかも全然想像つかない。誰か教えてくれ!
でもすごくシュールでカオスじゃないですか?
絶対私好みだと思うわ。
そんなトンチキ映画を大真面目に全力で作り上げるところがまた実に素晴らしい!
やす(佳城葵)の監督が節操はないけど結構エネルギッシュで、撮影現場は活気と混乱にあふれている。
俊藤の付き人3人組(蘭尚樹、彩音星凪、彩路ゆりか)も俳優としていつか大きな花を咲かせたいって夢がいっぱいなのよね。
その夢を叶えられた人はいたんだろうか?気になる。
そう言えば、付き人3人の中に絶妙に声が裏返る人がいて、笑いを取っていた。
誰だったんだろう?すごくうまいなぁ。
隣のセットで新選組を撮っているのも楽しい。
昔は時代劇が大人気でたくさん撮影されていたよね。
大暴れの美雪に切られてうっかり死んじゃう新選組の人(空城ゆう?)の大部屋俳優っぽい感じも好き。
社長令嬢塔子さん♪みちるちゃん(彩みちる)は明らかに普通の社員じゃないんだけれど一生懸命に映画作りに関わっていて愛らしかったな。
すごくいいお洋服を着てて、喋り方も身のこなしもお嬢様だったわ。
みんなの憧れ、マドンナだね。
(マドンナって今はもう言わないよね~。人名ではありませんよ)
失恋の後の懸命な笑顔を見たらおばちゃんはうっかり涙ぐんでしまったよ。
みちるちゃん、月組でもしっかり良い仕事してます。嬉しいです。
この作品は1964年、高度成長期が舞台。
大多数は貧しいし、社会の闇や歪も多く、けっして良いことばかりの時代ではなかった。
でも、まだ手には届かない夢と憧れがたくさんあったカオスでエネルギッシュな時代だったわ。
記憶がはっきりするのはもうちょっと後からだけどリアルに知ってます。
だからなんだか懐かしくって、撮影所のシーンは全部、観ててとっても楽しかった。
トンチキ映画その2 「お転婆姫と三獣士」
おそらく戦前に作られ、1964年にはもうすっかり忘れ去られたモノクロ映画です。
「ストーリーはハチャメチャ」って健司も言ってましたね。
西洋のドレスは着ているけれど、もちろん邦画。
演じる女優さんも日本人だから姫の名前は美雪というわけね。
「狸御殿」の洋装版的なやつかな?
この映画の登場人物も愛しい人たちばかりだった。
狸吉♪れんこんさん(蓮つかさ)復帰できて良かった!
そして台詞回しが素晴らしい!
映画俳優というより舞台俳優テイストがちらりと入っているのよ。
歌舞伎か剣劇か。でなければ演芸出身の喜劇俳優さんが演じているって感じ。
映画会社専属俳優というシステムは戦後からだよね。たしか。
古い映画の雰囲気をうまく作り上げていて、なんか毎回同じこと言っている気がするけど本当に素晴らしかった。
れんこんさん。もはや名優!と言っていいな。
虎衛門♪うーちゃん(英かおと)がカッコ可愛かったわ。
動きも軽いが口も軽い。
そういえばひとり肉食動物ね。
実は狸と鳩をいつか食べるため、背中の袋に調味料が入っているっていう裏設定をスカステで話していました。面白い!
でもきっと、そんなことも忘れて毎日ゴキゲンさんで過ごしてるんだろうな~っていう感じがとっても良かったです。
鳩三郎♪みよっしー(柊木絢斗)
むちゃくちゃ芝居が上手いの知っているから、「くるっく~」しかしゃべれないのってちょっと残念といえば残念なんだけれど儲け役。
その「くるっく~」に色んな意味が込められているのはやはり芝居巧者ならでは。
動きも健気で可愛かった。
敵役の大蛇丸♪ありちゃん(暁千星)がよかったわ。
顔だけは常に正面向けてセリフを喋っている大仰さが、まだまだサイレント映画をひきずっている時代の映画という事をよく表していてた。
押入れの中から登場するシーン、わかっていても笑ってしまう。
とっても真面目な顔をしているのに面白い。
そして大蛇丸の従者の雨霧♪じゅりちゃん(天紫珠李)、狭霧♪ぱるくん(礼華はる)もクールな表情のままタンゴ踊ったり、賭け事で揉めたりしているのがものすごくツボ。
この二人好きだったな~。
じゅりちゃんの早変わりが間に合わないため、ラスト大団円に雨霧がいないのがすっごく寂しかったよ。
それにしても美雪姫がいなくなってしまった映画の世界では、その後どんなストーリーが繰り広げられたんだろうって妄想しちゃいます。
「大蛇丸と三獣士」
ドタバタコメディになりそう。
トンチキマシマシで面白そう。
そんなこんなで、とっても楽しく観劇できました。
こんなトンチキな感想になってしまったけど、れいこちゃん(月城かなと)、うみちゃん(海乃美月)トップお披露目おめでとう!
二人の物語は大千穐楽のLIVE配信でもう一回しっかり見ます!
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