「巡礼の年 ~リスト・フェレンツ、魂の彷徨~」LIVE配信感想2

【2022-09-04】
LIVE配信感想

やっぱり大好きだわ!オリジナルのアテガキ!

目もくらむほどの美形にしてピアノの魔術師と呼ばれたリスト・フェレンツ♪れいちゃん(柚香光)。

なんてピッタリなんでしょう!

彼が顔にかかる金髪をかきあげるだけでファンが熱狂して失神。そりゃそーですよね。わかります。

リストの汗をイメージした宝石みたいなキラキラ!すごく好きだな。ピアノの電飾も大好き!生田先生のキッチュなセンスほんとに好き!

しかし自分がど派手な美貌である事を知り尽くしケレン味も、もちろん才能だってあふれているリストなのに自己肯定感が低いのよね。

そんな己の矛盾に苦しむ銀橋の歌。すごくドラマティックな曲でした。

丁寧に歌うことで聞き取りやすく、歌唱力もとてもアップしたれいちゃんですが「fff」で言えばハイリゲンシュタットの遺書のような見せ場となる曲で、ここだけはもうちょっと声量がほしいかなぁとは思いました。

でもその声の弱さがリストの心の迷いを感じさせて母性本能くすぐられちゃうのかも。

リストは自分の内面の幼さを鋭く見抜いたマリー・ダグー伯爵夫人♪まどかちゃん(星風まどか)にすがるように会いに行ったことで恋に落ち二人で出奔。

まるで「うたかたの恋」のひと場面みたいなロマンチックで幸せな時を過ごします。

しかしマリーは貴族であるだけでなく知的レベルも精神的にもずっと大人の女性。

身分差やそのコンプレックスゆえに結局リストは己が何者であるかを認めてくれる世界を求め旅立ってしまう。

だって喝采ってきっと麻薬。ウィーンで調子に乗ったれいちゃんがまたいい味なんだわ。

年を重ねてラストにようやく巡り合う二人。

虚飾の鎧を脱いだリストは一層大人びたようでもあって、でもどこか子供のように清らかで美しい。

れいちゃんってあれ程の美形、それも人を狂わすほどの美しさなのに何ていうのか、どこか放っておけない危うさ、幼子のようなピュアさが感じられるんですよね。

どれほど天狗になったって、人を押しのけたっていいくらいの美貌だけど醸し出すムードがね、ほんとに素直でいい子なんだなって思える。

いや別に私、お話したこともトーク番組をよく見たわけでもないのであくまでも舞台から受ける印象ですが。

そんな見た目と中身がぜんぜん違うんじゃないかしら?っていう本人の個性がこの物語のリストの個性と重なって真実味を持たせていた気がします。

芝居のリアリズムって技術であって技術だけじゃないんだなぁ。

巧いがゆえにかえって観客に緊張を感じさせるタイプの人もいれば、けっしてこれみよがしに上手いわけじゃないのに見ててすんなり気持ちが入り込める人もいる。

完璧なヒーローではないけれど人の心を捉えて離さない魅力、というかもはや魔力を感じさせるカリスマ性。

単にその美しい外見だけではなく、リストの人となりの描かれ方に至るまで何もかもがピタリとあてはまっていて、これぞアテガキの醍醐味。

れいちゃんの個性が存分に生かされた物語でとても引き込まれました。

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