本当は恐ろしい「今夜、ロマンス劇場で」新人公演2

【2022-03-15】
LIVE配信感想

さて実はこの「今夜、ロマンス劇場で」の大劇場千秋楽のLIVE配信を見終わった後にうっかり、
「ポーの一族」のエドガーとか、
「不滅の棘」のエロールとかが
思い浮かんじゃったんだよね。

美雪もエドガーもエロールも外見はずっと若いまま。

でもその精神は老成していく。

先般、劇場で観たうみちゃん(海乃美月)の美雪はラストの病室で年若くは見えても、どことなく長年連れ添った感が醸し出されていました。
上手いなー。

最期にそっと手を握り合う姿は老夫婦のようにも思えます。

新人公演では、まだ中卒研2の可愛らしいまのんちゃん(花妃舞音)。

だから映像から抜け出てたお転婆姫がそのまま一生歳を取らず、身も心も少女のままであるという事実が本公演よりもはっきり立ち上がっていたように思います。

しかも新人公演では病室のシーンの演出がすこし変えられていて、健司が包み込むように美雪の肩を抱くのよ。

そう、まるで幼子を抱きしめるように優しく。

それはとても温かく美しいシーンではあったけれど、一方で、ものすごく恐ろしいお話だなぁ~って、改めて思ってしまった。

そうなのよ、ここがね。

この物語の実につらい部分でして。

たとえ触れられなくったって、そこはまだいいの。

でも、いつまでも少女ままのお姫様と美しい彩りを数えながら寂れていく映画館で人目を忍ぶようにひっそりと暮らす一生。

もちろん二人でいれば楽しい時間には違いないけれど、だけどものすごく残酷じゃない?

外見は若くても中身は共に老成していくうみちゃんの美雪

外見も中身もピュアな少女のままのまのんちゃんの美雪

長く二人で生きた道のりはどちらが切ないだろう。

どっちもすごく苦しいけど、後者のほうがちょっとホラーかな。

ラストの舞踏会は色彩と多幸感に満ち溢れているからハッピーエンドではあるのだけれど。

甘いファンタジーにくるまれた本当は恐ろしい物語。

そんなふうに思えます。

ファンタジーをリアルに捉えちゃいけないんですけどね。

月組メンバーの芝居力が高いもんだから、その人達の描かれていない人生まで見えてきちゃうのよ。

ロマンチックで切ない恋物語だわ〜としみじみ涙することが出来るピュアな乙女心を取り戻したいよぉ〜。

キャスト感想はこちらです。↓

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