可愛いは正義「Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀」

【2019-09-08】
スカステ視聴記録

台湾の有名な人形劇のミュージカル化だそうです。

台湾公演は見に行けませんのでスカステにて鑑賞。

もちろん、原作の人形劇も見たことありませんし、しかも私がちょっと苦手な小柳先生の作演出でしたが、これは面白い!

人形劇は知らなくても中国伝統のエンターテイメントである武侠小説は結構読んでいます。

この世界観に馴染みがあったこともあるでしょう。ホント面白かった!

私にとってはいつもイマイチな小柳先生のマンガ原作の舞台化も、もしその原作をよく知っていたらもう少し楽しめたのかも知れません。

武侠小説というジャンルは日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、「北斗の拳」とか「ドラゴンボール」などは武侠小説の世界観を取り入れているように思います。

「かめはめ波~~~」って叫んで手のひらを差し出すと人が吹っ飛ぶみたいな力を修業によって得た剣客たちの大河ドラマっていう感じでしょうか?

香港の金庸の作品が一番の有名どころかな。「射鵰英雄伝」とか。香港ではよく映画やテレドラマ化されてます。

宝塚ファンは台湾公演の演目にもなった「怪盗楚留香」なら知ってますよね。

こちらは台湾の作家の古龍。

「多情剣客無情剣」が好き。

金庸よりぐっとハードボイルドでかっこいいんだわ。

「Thunderbolt Fantasy」でもかいちゃん(七海ひろき)の殤不患がとにかくかっこよくって~。

見ながら思わず何度も「かっこいい~~~」って口走ってしまったわ。

さゆみさん(紅ゆずる)の凜雪鴉も、酔狂でほんっと食えないヤツなんだけど、とにかく眉目秀麗!

スリルを楽しむ只者でない冷血漢がいかにも武侠物の登場人物。

実際に戦う殤不患より高みの見物を決め込む凜雪鴉を主役に持ってこれるというのもさゆみさんならではですよね。

そしてなにより、あーちゃん(綺咲愛里)の丹翡が可愛い!!

これでもかっていうくらいにゴテゴテな衣装が似合う似合う!

なんなの?本当に人間なの?人形じゃないの?

可愛いは正義だわ~!

ちょっとたどたどしい芝居や歌も、それが神剣を守る一族の末裔の世慣れないお嬢様が武侠世界の荒波に飛び出した必死な感じをいい具合に醸し出していて、まさにはまり役。

もう何が何でも守ってあげたくなるわ。

というわけで大満足の「Thunderbolt Fantasy」で小柳先生を見直したのですが、続いてあーちゃんのミュージックサロン「My Melody」を見たのがイカンかった。

あーちゃんは歌の人ではないのは百も承知だ。MCなど慣れてないのも知っている。

もちろんそれを期待してディナーショーに出かけたファンもいないだろうし、こうしてテレビで見ている私だってそうだよ。

だってあーちゃんの魅力はそこじゃないじゃん!

あーちゃんの魅力を最大限に生かして作品を作ることに座付き演出家の存在意義があるんじゃない?

なのに絶対やってはいけないことを冒頭でやらかしている小柳先生。

このディナーショー。リゾート風カラオケ店に出かけてきたあーちゃん一行という設定。

これ、絶対ダメ!

そんなこと、一番最初に観客に提示してどうするの?

ディナーショーに大金出して楽しみにやってきたお客様にこれから素人の日常を見せますよ!って宣言しているようなもんじゃない。

その後にどんなにあーちゃんが頑張って歌っても、どんなに趣向を凝らしたパフォーマンスを見せたとしても、カラオケっていう言葉を最初に刷り込こまれた観客はそれを素人芸の範疇と感じてしまう。

しかも選曲の中にいかにも女の子がカラオケで歌いそうな曲を混ぜてきているという念の入れよう。あぁ~~もう。これ絶対ダメ!

そりゃぁ、あーちゃんは技術的にはいろいろ課題はあるよ。トップになるからには技術が高いに越したことないよ。

でも技術だけがタカラジェンヌの魅力ではないじゃん!

あーちゃんならではの魅力を観客は観に来ているんじゃない。違う?

そこでちょっと思い出したのがあやねちゃん(桜乃彩音)のディナーショー。

共に出演したのが、まっつ(未涼亜希)・だいもん(望海風斗)という超絶歌ウマさん。

あやねちゃんだって歌はまぁアレですよ。

でもまっつとだいもんの支えを得て、ちょっと安定性に欠けるところはあったとしてもそれが気にならない。

それどころかアンコールで歌った「ジュピター」が素晴らしかった!

ブラボー!っていう観客の声も最後に入っているくらい。そしてそのかけ声にふさわしいパフォーマンスでした。

得意のピアノの披露もあったしね。

あーちゃんだって、きっと上手く歌える音域とか綺麗に聞こえる歌とか得意な事があるはず。

カラオケなんていう設定に逃げなければ彼女なりに聞かせる歌を届けようという意識がもっと生まれたかもしれないのに。

フリートークが苦手なら、芝居仕立てのシーンがあったっていいじゃないですか。

なによりも可愛いは正義!じゃないですかっ。

装置やドレスの可愛さだけでなく構成演出も愛らしさ満載設定で作ることだってできたはずじゃない。

そこに大人っぽいシーンも取り混ぜたりしたらあーちゃんの魅力爆発じゃないですか!

カラオケだから(下手でも許してね)って最初に言わせてどうするの!

演出家が率先して演者を素人に見せてしまうだなんて…。

もう悔しくてなんだか涙が出てきたよ。

欠点すら魅力に変える。それが座付演出家の仕事じゃないの?

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