色鮮やかに咲き誇る「Gran Cantante!!」2

【2022-07-24】
観劇・LIVE配信感想

この公演で卒業された三人。

まだまだ宝塚で活躍されると信じていた方たちばかりでしたので集合日にはかなりの衝撃を受けました。

Twitterでずいぶんダダをこねちゃいましたっけ。

でも、このステキなショーでご卒業となったことはとても良かったなぁ。

こりらちゃん(華雪りら)

小柄で愛らしく、上品な美貌の娘役さん。

スカイナビゲーターズも務められましたよね。

番組でも常に楚々と控えめでした。

だから現代的な娘役が多い宙組でも、体育会系気質のド派手な星組でも、どちらかといえばあまり前に出て来なかったような気がします。

一番印象に残っているのは宙組時代、スカステで見た「王妃の館」新人公演のおばあちゃん役。

ちっちゃくて可愛いおばあちゃんだった。すごく好きだったわ。

その清楚さを活かせる役や作品にもっと巡り会えれば良かったのですが、なかなか難しいものですね。

卒業公演ではショーの案内人フロレとしてまるで花と雪の妖精のように現れたこりらちゃん。

そうそう!こういうこりらちゃんが見たかったのよ!

はるこ様(音波みのり)

大好きな大好きなはるこ様!

ことちゃんがサルエルパンツを履いているダンスシーンで共に踊るはるこ様が特に好きでした。

もとい!

全シーン大好きでした!

プロローグのフリルが重なったスパニッシュドレスの美しい裾捌き。

「ボニータ」の歌に合わせたダンスシーンでは深いスリットの入ったモスグリーンのドレス。低い位置のシニョン。

大人の色香を放ちつつも上品で、そしてダンスは大胆だった。

中詰はとても幸せそうな笑顔。

あかさん(綺城ひか理)とのデュエットはよく考えてみればかなりの学年差なのに全くそう感じさせない、まさにお似合いの恋人同士。

闘牛の場面では、決戦に向かう闘牛士を見送る恋人。

無言のダンスであっても物語が感じられる豊かな情感に胸が熱くなりました。

黒いパンツスーツで今回の退団者三人がせり上がっていくシーンではなんだか色んな感情が湧き上がって。。。涙がこみ上げてきたわ。

そしてパレードでは男役に挟まれて大階段のセンターを降りてくるはるこ様を見ることができてただただ幸せだった。

はるこ様を最初に知ったのは宝塚の観劇を再開したばかりの頃に見た「ノバ・ボサ・ノバ」のボーロ。そう少年役でしたっけ。

「めぐり会いは再び」のレオニードの時はまだ可愛いヒロイン系の娘役さんという程度の認識で、もちろん目立っていたけれどそれほどちゃんとは観てはいなかったように思います。

やっぱりスカステで見た「鈴蘭(ル・ミュゲ)」がきっかけだったのかな~。いやもっとずっと前からのような気がするんだけれど。

そうだ!いつだったかは忘れたけれど「リラの壁の囚人たち」の放送をスカステで見たんだわ!

初演を見ているから、この再演をスカステで見た時はなかなかのショックだったんだけれどね~。

はるこさんは主人公であるレジスタンスの戦士に思いを寄せながらもゲシュタポに囲われることを決心する酒場の娘マリーというとても心理の難しい役を演じていて、本当に素晴らしかった。

マリーは十数年後に主人公と再会するラストシーンにも登場します。

勝ち気で健気な娘時代から酸いも甘いも知った大人の女性まで見事に演じていて、そこから大好きになったんだわ。

特にショーではいつも気がつくとずっとはるこ様を追っていたっけ。

背中の使い方が美しく、芝居がうまく、大人可愛い娘役さん。

まさに私の好みにドンピシャだったのよ。

男役に比べて活躍の期間が短い娘役の世界。

その中にあって、いつまでも変わらぬヒロイン属性を持ち続けたまま、これほど長くいてくださったことは本当に奇跡といっても良いのかもしれない。

お芝居でも赤いベレー帽をかぶった時の衣装が特に好きだったわ。

あんなに愛らしい格好で腕をブンブン振り回す姿が似合う研究科18年!

だけどこの奇跡を起こしたのは紛れもなくはるこ様の娘役としての矜持とたゆまぬ研鑽だったのでしょう。

いつまでもずっと憧れの娘役。

はるこ様!大好きです!

ちひろさん(天寿光希)

もちろんジェンヌさんはたとえ初舞台生であっても全員プロフェッショナルではあるのですが、とりわけこの方はプロ中のプロだな!っていつも思っているの。

私はスカステのトーク番組はあまり見ないのですが、それでも舞台姿を見ているとその人となりというものがなんとなく透けて見えてくるものだと思うんです。

ちひろさん。不思議とあまり透けて見えてこない。

もちろん、とても聡明できっと面倒見も良いすてきな上級生に違いないと想像はできる。

でも芝居によっていかようにも変化するその姿からは素の彼女というものを推し量ることが全然できないのよ。

それって凄いことだなぁって思う。

新しい役に巡り合うたび常に新鮮なちひろさん。みっきー。天寿光希。に出会える。

これほど千変万化で掴みどころのない役者もそうはいないと思うの。

しかも演じるキャラクターのそのどれもが多面的な魅力を放つんだもの。

嫌悪感に満ちているのになぜか魅力的な中年男とか(ドクトル・ジバゴ)、
この世のものではないオーラを放ちながら人間的に苦悩する龍神とか(龍の宮物語)

挙げたらキリがないほど魅力的な登場人物が次から次へと思い浮かんできます。

最初にはっきりとその存在を認識したのは「オーシャンズ11」のモロイ兄弟だったかな。

もし今、この役を演じることになったとしても、きっと何の違和感もなく演じこなせちゃうと思うわ。

だってあれから10年以上経った今でも変わらず愛らしく若々しい美人さんで、パッと見ただけではとてもイケオジが出来るタイプとは思えないのよね。

なのに年齢も性格も(もちろん性別は最初から)すべてを越えてありとあらゆる複雑な役をさらりと演じること出来るすごい人。

歌声も好きでした。

「Gran Cantante!!」ではエトワールを含め印象的な歌唱シーンがありました。

中詰が「別れのフラメンコ」だなんて泣かせる。

やはり芝居の上手い人の歌というのはショーにおいても心にしみるわ。

もちろんダンスだって大好き。その切れ味はいつでも目を引きました。

なんとなくヤンさん(安寿ミラ)風味が感じられたんですよ。

緩急の付け方がすごくかっこいいのだ!

天寿という芸名はもしかして安寿から取ったんじゃないかって思うほど醸し出すムードが似ているような気がします。本当の由来はなんなのかしら?

いつまでも星組にいてくださると信じてたけれど、卒業を選んだちひろさん。

それもまた全方向にスキのない、まさにスーパープロフェッショナルタカラジェンヌの生き様なのかもしれません。

華やかなスペインの祭りのなかで色鮮やかに咲き誇る三人のお姿を劇場で目に焼き付けることが出来て本当に良かった。

私も幸せでした。ありがとうございました!

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