思いつれづれ
来年宙組で上演する宝塚百十周年記念奉舞「宝塚110年の恋のうた」で歌唱する楽曲のリクエストが始まりました。
過去に上演した日本物のなかから恋愛にまつわる歌をリクエストできるとのこと。
受付期間は今年の9月29日まで。
応募は一人1回一曲きりなので悩みに悩みました。
あかねさすたまゆら紫子大江山
どれも心に染み入る名作名曲ぞろい。
おや、なんだか日本物って悲恋が多いですね。
明るく元気な歌も欲しいかも~。
「恋天狗」のモヤモヤモヤモヤの歌はさすがにオトボケがすぎるかなぁ。
おお!ハッピーな日本物の恋歌といえば「夢介千両みやげ」でお銀さんが歌う「惚れちゃったのさ~」があるではないか!
などと、ぐるぐる考えるのは楽しいな。
大劇場公演はもちろんバウホール、外箱。時代も万葉から江戸、現代に近いものまで一口に日本物といっても本当に多彩な演目があります。
美しい愛の歌、悲しい恋の歌、狂おしい情念の歌。
名曲はさまざまあれど、ここはやっぱり自分にとって思い入れのある曲を選びたい!
ということで、ついに出しましたリクエスト!
朱(朱に恋うる歌)青(青のにじむ朝の歌)
作詞:菅沼潤 作曲:吉崎憲治
1983年花組公演。舞踊詩劇「紅葉愁情」の主題歌です。
恋歌と言うにはちょっと抽象的すぎるかしら。恋する二人が歌うデュエットソングではないし。
でも大好きな曲なんです。
しかも短調も長調もあるのよ。吉崎憲治先生の曲って長大で展開が見事ですよね。
時は室町時代。
絵師の菊信♪ペイさん(高汐巴)は六条将軍が寵愛する白拍子の紋寿♪ひとみちゃん(若葉ひろみ)のあまりの美しさに心を奪われます。
嫉妬した将軍に殺されるとわかっていながら紋寿に会い、その姿を絵にとどめようとする菊信の情念は吹き出す血潮のように激しく散りしきる紅葉の朱です。
一方で将軍に仕える武士の雪丸♪なつめさん(大浦みずき)も密かに紋寿を恋い慕っていました。
こちらは深々と降り積もる雪のように愛する人を静かに見つめ抑制する恋。一見クールにみえて心の奥では激しく燃える雪と氷の炎の青です。
二人に想われる美しい紋寿はツンと驕慢で情熱的な菊信に反発しながらも心の奥では激しく惹かれていきます。
二人の想いを感じ取り、菊信の最期の望みを叶えようとする雪丸。
狂おしく愛した美しい人を最期にもう一度描き残そうとする菊信。
愛してはならない女性を愛してしまった二人の姿を朱と青で描いたドラマチックな主題歌でした。
ペイさんプレお披露目のバウホール「マイ・シャイニング・アワー」でなつめさんに一目惚れした私。
この「紅葉愁情」はペイさんトップお披露目公演であり、大劇場でなつめさんを観た初めての作品でもあります。
凛と涼やかに踊るなつめさんの指の長さに見惚れましたっけ。
この世のものとは思えないひとみちゃんの美しさ、ラストの紅葉の群舞の中、溺れるように舞い狂うペイさんにも息をのみました。
主題歌にも心奪われ、当時販売されていた主題歌の楽譜も買ったんです。
その楽譜を引っ張り出してみたら「朱」と「青」と二曲に別れていた。あらら。
TCAの音楽配信では一曲にまとめられていたので、一曲カウントということで応募してもいいですよね。
東上しなかった作品だし、なにせ昭和の昔なのでこの曲をリクエストした方は多くはないかもしれません。
でももしかしたら演出の大野先生がどんな曲だろう?って昔の映像を見てくれたりするかもしれない。
採用はされないだろうけれど、それだけでもう満足よ。
コメント