「エル・ハポン-イスパニアのサムライ-」観劇感想1

【2020-01-25】
観劇感想

やっぱいいわ。オリジナルのアテガキ。

バチッとハマった役を演者がさらに膨らましていくワクワク感。

今年初観劇としても本当に楽しい時間が過ごせました。 

たくさんの人物が出てきて、それぞれに見せ場があり、なおかつそれぞれに存在意義もある。

人の心の繊細な機微を華やかさと賑やかさでつつみ、最後はハッピーエンド!

とても上手くできた宝塚ならではの舞台だと思います。

日本とスペインの異文化のふれあいが肝のこの作品。

主要な役同士の対比がみごとでした。シメントリーな構造が好きなの。

治道(真風涼帆)⇔アレハンドロ(芹香斗亜)

ともに武士(剣士)である治道とアレハンドロ。

家名に背ききれずに愛する人の命を救えなかった日本の武士。

その上、訳あって謀反人を斬り捨てることができず本当なら切腹もののところを使節団に預けられた。

まぁとっさの判断で国外追放ということでしょうか?

武士として生きる場所も、死ぬ場所も奪われたゆりか氏の耐え忍ぶ寡黙な姿が素敵過ぎる!

一方のキキちゃんは飄々と軽やかな謎の男。

彼が家というくびきを捨てて自由を選んだ剣士であることはラストに明かされるわけですが。

キキちゃんのテキトーなお返事「は~~~ぃ」が最高でした。

というわけで、性格はもちろんのこと家・自由という観点でもこの二人は見事な対称形。

藤乃(遥羽らら)⇔カタリナ(星風まどか)

治道と関わる事となる女性の藤乃とカタリナ。

ららちゃんは愛する人をただ待つことしかできなかった悲しき戦国時代の女性。

しっとりとした情感が美しい!

儚く消え去ってしまったその余韻が切ない。

一方まどかちゃんは旅館と守るべき人たちのために立ち向かう自立した女性。

待つことなく女性のほうから踊りにいざなう事ができるのも日本人と違うところよね。

この二人も見事な対称形。

藤九郎(和希そら)⇔エリアス(桜木みなと)

こじらせ坊っちゃんの藤九郎とエリアス。

どちらもやたらと治道に突っかかる。凝り固まった執念で周りが見えなくなる視野狭窄ぶりがそっくり。

人のふり見て我がふり直せ。先にそのことに気づいた藤九郎の「お前は俺だ」的なセリフがあったよね。

藤九郎の方が賢そうだわ。頼もしい!

もちろんエリアスのちょっとおバカなところも愛おしくて好き。

この二人、国の違いはあれど鏡を見るような相似形だったんだろうなぁ。

日本とスペイン2つの国のそれぞれの人々を対比させて、そのどちらも際立たせる構成がお見事でした。

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