「カジノ・ロワイヤル」わが名はボンド 観劇感想1

 

【2023-05-10】
観劇感想

気がつけば随分と記録を怠ってました。LIVE配信もスカステも見てたんですけど。

寄る年波には勝てずこのところ不調続き、仕事もしばらく半休をとったりしていたのですが休んでも代わりに仕事をやってくれる人はいないので…。

結局のところ一日分の業務量を半日でこなすという休んでるんだかむしろ疲れているんだかわかんない状態に。

数年前なら乗り越えられたストレスや体調不良もこの年になるとなかなか厳しい。そろそろ潮時かな~。

そんな体調もくじ運も悪い私に退団公演の激レアチケットが2枚も当たるという信じられない奇跡が起こり、いそいそと劇場へ出掛けました。

劇場へ出かけるときは元気いっぱいなんだよね。結局、身体の不調って職場のストレスかぁ。

しかもプラみちゃんがご用意してくれたのはなんとSS席!

いやもうホント楽しかったわ!夢のようだったわ。

華やか!見たい人いっぱいでまるで目が足りない!

そして出てくる人ほぼすべてスットコドッコイ!

だけどめちゃくちゃかっこよかった!

オープニングに銃を構えたジェームズ・ボンド♪ゆりか氏(真風涼帆)が丸いスポットライトに照らされる。

おー!まさに007!

おなじみの音楽が流れないのはちょっと惜しいところではあるけれど、それでも十分にスパイ映画の雰囲気を味わいました。

といっても子供のころにテレビで見た007の記憶はほぼないんですが。

たしか変なガジェットいっぱい出てきたり、変な悪の組織が出てきたり、結構トンデモ映画だったような記憶があります。

シリアスなダニエル・クレイグ版もひとつだけ映画館に見に行ってるんだけどストーリーはもう全く記憶にないのだ。

どれを見たんだろう。オープニングエピソードでの工事現場の高いところのアクションだけはよく覚えているんだけど。

そうそう今思い返せばハイロー映画でルードボーイズがみせるアクションみたいだったわ。パルクールね。

そこしか覚えてないってことは、やっぱりそういうアクションが好きなんだな~。

というわけで肝心の本編の記憶はまるでないのですが、以前の007よりシリアスでリアリティがあったことだけは覚えてます。

今回の宝塚バージョンはダニエル・クレイグ版ではなく、子供の頃にテレビで見たトンチキが入り混じった昔の007版のほうに近いのかしら。

思ったよりコメディなのね。

まるでおもちゃ箱をひっくりかえしたような娯楽作品に気分はノリノリ。トップコンビのさよなら公演ということも忘れてひたすら楽しみました。

特にル・シッフル♪キキちゃん(芹香斗亜)を中心に部下たちが歌い踊る場面がツボにハマって、マスクの中で声を出すのはこらえたけれど結局のところ肩をふるわすほど笑っちゃった。

キキちゃんの歌に合わせロシア民謡の別メロディで部下たちがひたすら「ル・シッフル ル・シッフル ル・シッフル ル・シッフル」って歌いながらコサックダンスするところ。

こういうのシュールで大好きなのよ。

キヨちゃん(優希しおん)はその高すぎる身体能力を活かしてやってることトンデモなく凄いのに脳筋度が100%なのでびっくりするやら笑えるやら。

どってぃ(真名瀬みら)は、まるでサイボーグみたいに無表情を貫いているようだけれど時に微妙に表情が変化するのが最高に面白かった!

あのキキちゃんやキヨちゃんについていくお仕事はホントに大変よね~。どってぃものすごく上手いわ。今後も益々注目していきたい。

こんなに最高にアホな(褒めてます)場面なのにキキちゃんが素晴らしい声量で歌い上げるし、すっしぃ組長(寿つかさ)率いるロマノフの末裔ご一家まで加わるものだからもう肩とお腹の震えが止まらない。

すっしぃ組長のとぼけた味わいとダンディズム。かりんちゃん(花菱りず)の表情の濃さ!(あ、りずちゃんはここの一つ前のシーンに出演でしたね。印象が濃すぎて残像がのこっていたのかも。)

歌もダンスも芝居もこれだけプロフェッショナルに上手い人たちが大真面目にトンチキなロマノフ帝国再興計画をぶち上げているからこその楽しさと贅沢さ。

心も腹筋も踊ったわ!

トンチキといえば学生活動家ミシェル♪ずんちゃん(桜木みなと)

第一声からちょっと高めの素っ頓狂な声でびっくりでした。

普段は運動神経抜群なずんちゃんが柵も満足に超えられない運動音痴とは。うぷぷ。

色々迷走しながらも一生懸命頑張ってるっていう身体表現も心の動きもしっかり作り込んでいて流石のうまさです。

鎧を身につけるとなぜだか強気になっちゃうところも最高ね。

もう全力で応援しながら見ちゃいましたよ。

気の強い系女子からしたらああいう気弱で健気なインテリって絶対ほっとけないわ。

というわけで鞭をバシバシ振り回すアナベル♪じゅりちゃん(天彩峰里)が口では根性叩き直す!的なことを言いながらもとにかくミシェルしか目に入らなくなっていくのがとってもチャーミングでした。

じゅりちゃん。ツヨツヨでいじらしくって。こういう心と態度が裏腹な表現が巧みな役者さんが大好きなの。

そういえば宙組ってツヨツヨで現代的な娘役さんが多くて、思わず目が引き寄せられてしまうのだわ。

秘書といってもM長官の代理も出来ちゃいそうなくらい有能なマネーペニー♪さらちゃん(花宮沙羅)は歌も芝居も頼もしい。

ヴェスパー♪さーちゃん(春乃さくら)がもうもう!美しく輝いていて!見惚れました。うれしーよー。

ドレス姿ははんなりとエレガントなのに銃を構えたアクションではきりりとかっこいい。

パンタロンスーツ(1960年代当時はそんな名称でしたっけ)も長身だからすごく似合っていた。

フィナーレのダンスでも身のこなしにフワリと空気を掴むような柔らかさがあって、でもそれがヨヨとした儚さではなくしっかりとした意志が感じられるのが現代的なのだ。

しかし今回もキキちゃんとの絡みは一切なかった。じらすねぇ。

でもこの次期コンビの並びは間違いなく眼福で耳福。楽しみだな。

そしてなんといってもデルフィーヌ♪かのちゃん(潤花)の魅力が爆発してたわ。

ロマノフのお姫様というガチのセレブであればこその物怖じのなさ。華やかで眩しい。

その身分に依存したくはないとつっぱりながらも、この生き方でいいのだろうかと冷静に自分の心を見つめることが出来る自立した賢いヒロイン像であることがとても素敵でした。

隣に並んで共に強い輝きを放つこのトップコンビのあり方がすごく好きだったなぁ。

そしてSS席の間近で観るゆりか氏は本当にジェームズ・ボンドだった。ハリウッドの男優と肩を並べても遜色ない男っぷりでは?

キキちゃんとの銀橋でのちょっとしたやり取りでクスっと笑えちゃうのもゆりか氏のセリフの間の良さね。

デルフィーヌに「ア・ビアント」ではなく「アデュー」と言って別れるのもぐっとくる。

互いに忘れがたく思いながらも自分の信じた道をそれぞれに歩み、この先もう二度と生きる道が交わることはないであろう二人には「またね」を意味する「ア・ビアント」ではなく別れの言葉の「アデュー」のほうがふさわしいのだな。

ずっと共にいることだけが愛ではない。かすかに見え隠れするやせ我慢を大人の男の余裕で振り払い旅立つ。

イギリス人らしいシニカルさとダンディさとを滲ませた男っぷりにひたすら見惚れました。

明日のLIVE配信でついに卒業を実感するんだろうなぁ。心して見届けます!

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