ジョン・ウー監督で観てみたい「アル・カポネ -スカーフェイスに秘められた真実-」

【2016-07-24】
スカステ視聴記録

いやぁ~~~!面白かった!!

私のヅカ友には年代記みたいで盛り上がりに欠けると、今ひとつ評判の悪い原田先生ですがこれは面白かったですわ。

私は「華やかなりし日々」は面白かったし
(特に大ちゃん(鳳翔大)最高!それからオチも小気味よくって痛快だった。)

「白夜の誓い」もみんなが言うほどつまらなくは無かったし
(かいちゃん(七海ひろき)がいい味出してたし、衣装もよかった。)

まぁ、何故か賞をとった「キャパ」はイマイチ好きじゃなかったけど…。

原田先生の作品はセットとか全体の色合いとかセンスがよくてわりと好きです。

さて「アル・カポネ」をスカステにて鑑賞。

宝塚の場合ミュージカルというよりは歌入り芝居という感が強いけれど

これは程よくミュージカル的なシーンも挟まれていて、スリルありのラブ・ロマンスあり。

特に1幕はなかなかの盛り上がりでした。

やっぱりこの時代の男役のスーツ姿はカッコいい!!

せしこ(大湖せしる)

美し~~い!!およそ日本人とは思えない。

あす(久城あす)

毎度のことながら、とにかく上手い!!

特に口跡がみごと。

がおり(香綾しずる)

今回最大に気に入った。

面白いやら、気味悪いやら(褒めてます)

こんなシュールな造形をさらりと演じられるなんて。

この人もすごい人だわ~~。

さて1幕のアル・カポネが成り上がるに当たっての盛り上がりに比して2幕。最後の裁判シーンは大迫力だった。

けどそこにいたるまでがちょっと低調だったのは、やっぱりエリオット・ネスの造形のなんとなくの違和感によるものだと思われます。

あくまでもダーク・ヒーローであることが魅力のアル・カポネに対してエリオット・ネスがあまりにも無条件に尊敬の念をかくせない雰囲気を醸し出しすぎなんだなぁ。

もちろん敵対する相手に対して愛とも感じられるほど想いが高じることは間違いなくあると思う。

例えば香港映画
ジョン・ウー監督「狼/男たちの挽歌・最終章」(喋地雙雄)

刑事のダニー・リーが敵対する殺し屋チョウ・ユンファに対して感じる熱い想いはほとんど恋といってもいいくらい。

でも、この世界観が成り立つのはチョウ・ユンファとダニー・リーがどちらも同じくらいの熱量と力量をもつ役者であったから。

あと、ジョン・ウー監督がひりひりするほどの男同士の友情とバイオレンスを演出するツボを心得ているから。

なんといってもチャン・チェ監督の弟子ですから。

まぁ、そんな香港ノワールと呼ばれる世界を宝塚に持ち込むわけにもいかないですが。

でも香港ノアールと宝塚って結構似てるところあるのよ。

撃たれても撃たれても、なかなか死なないとか。

恥ずかしいくらいキザな台詞を吐くカッコいい男達とか。

さて、今回の場合アル・カポネを演じただいもん(望海風斗)とエリオット・ネスを演じた、れいこ(月城かなと)には歴然とした学年の差がある。

なので対等な好敵手ではなく、尊敬やあこがれの想いでダークヒーローを見つめてしまう捜査官というちょっとへんてこな感じになってしまった。

2幕はアル・カポネとエリオット・ネスのダブル主演といってもいいくらいの流れであったほうが舞台としては面白かったと思う。

とはいえスターシステムが確立している宝塚ではそういうわけにもいかないものね…。

れいこはとても端正にきっちりと演じていたけれど、その真面目さ、欲のなさが、今回は邪魔になったかもしれない。

主役を喰うくらいの遠慮のなさが必要だったかも。

しかし、だいもんの破壊力は本当にすごいな~。

この人を喰うくらいの迫力や力量を持つ人となると今、ちょっと思いつかないわ。

そうだな~~~。

2幕特別出演でイシさん(轟悠)エリオット・ネスだったらとんでもなくすごい舞台になったかもしれない。

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