スカステ視聴記録
「カリスタの海に抱かれて」新人公演スカステ録画観賞。
胸にしみるいい新人公演でした。
正直、この「カリスタの海に抱かれて」という芝居。
本公演を観た時には、なんとなくの違和感があったのです。
いえ、けっして悪い話じゃないし、つまらなかった訳ではないのですが…
もし、これが3~40年くらい前の昭和の宝塚だったら主役になるのは、カルロではなくロベルトだっただろうなぁ。
リーダであることに悩みながらもみんなを引っ張り成長していくロベルト。
裏切り者の息子であることを悩みながら陰の存在として独立を助けるカルロ。
その二人の間で揺れ動くアリシア…みたいな。
ところが平成の宝塚。
ヒーロー像というものがちょっと変わってきてるのね。
敵も味方もどちらの生命も同じ重さと、無血革命をめざすカルロのほうが主役になるのだもの。
時代は変わった。
そりゃぁもちろん生命は大切だけど。
横流しと根回しで事をすすめ、その合間にちゃっかりラブ・ロマンス。
ピンチの時は他力本願。
という主人公。
なんというか…どうにも気分が盛り上がらないなぁ。
なんてことをつらつら思いながら観た本公演だったのですが新人公演はちょっと切り口が違った。
セリフも演出も大きく違うわけじゃぁないのに不思議だよね~。
マイティー(水美舞斗)の持ち味なんだろうか?
根回しが全然根回しに見えないのよ。
むしろ不器用に真正面から物事にぶつかっていっているように思える。
真っ直ぐで曇りのないキキちゃん(芹香斗亜)のロベルトやなんやかんや言っても人が良さそうなアリシア兄のあきら(瀬戸かずや)に比べ、
陰鬱な面持ちが印象的なゆうなみ(優波彗)のロベルトは突然帰ってきたかつての親友カルロを心の底から信頼するには懐疑的なようだし。(なんで最後に味方になったのかは、よくわからなかったけれど…)
腹に一物ありそうなあかさん(綺城ひか理)のアリシア兄は手強いし。
どうも、事はちっとも上手くは進んでいってないように思える。
それでも愚直に進んでいく主人公を見るとなんだか応援せざるを得なくなる。
この主人公を応援したくなるって気持ちとか主人公に感情移入してしまうことって芝居の世界に没頭するためには必要なことだと思うの。
さらにさらにマイティーの素晴らしかったところは心に抱えた寂しさを表現できたところ。
孤独な生い立ちをアリシアに語る時のマイティー・カルロは、ためらいがちに微笑みながらもまるで迷子になった子犬のように人恋しさモード全開なんだよね。
誰かにすがりつかずにはいられないほど一人ぼっちだったんだろうなぁ。
このシーンのマイティーの佇まいの切なさに胸がキュンキュンしましたわ~。
愛しくてたまらんわ~。
だからこそ最後の銀橋でのハッピーエンドがこの上なく幸せに思える。
ラブ・ロマンスというより、ちょっぴり切ないハートウォーミング作品といった趣きに。
あぁ~。なんかいい話を観たな~。と思えたのです。
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