「川霧の橋」LIVE配信感想

【2021-10-31】
LIVE配信感想

博多座って素敵な劇場なんですってね。

しかもいつも心に染み入るしっとりとした過去の佳作が上演されている気がするのだけれど博多座の希望とかがあるのかしら?

劇場の矜持を感じるわ。いつか行ってみたいな~。

今回は30年ぶりの「川霧の橋」

うたこさん(剣幸)、ミミちゃん(こだま愛)サヨナラ公演。もちろん行きました。

この大好きな大好きな作品をLIVE配信とはいえ再び見ることの出来る幸せよ。

しかも新生月組トップコンビのプレお披露目公演ですよ!

なんて二人にぴったりな演目でしょう。

幸次郎♪れいこちゃん(月城かなと)

惚れ惚れするような美しさ。

ちょっと昭和っぽい感じと程よい重たさがまたいいのよ。

この人がトップになるまでどんなに再演希望があってもやらなかったのってここかなぁって無茶苦茶納得しました。

美しいだけじゃない、芯に骨太さがある感じ。

幸次郎さん女性に対しては不器用でね。

言わなくてもわかって欲しいだなんて、わかるわけ無いじゃん。しかも口が悪くてまるで優しくないし。

いい男なのに、出来る男なのに。もうまどろっこしくて、まどろっこしくて、でもそこが愛おしくて。

れいこちゃんって遠回りが絵になる男だな~。

お光♪くらげちゃん(海乃美月)

面と向かって好きだって言われたら、そりゃうれしいわよ。

しかしその言葉を口にしたのが幸次郎じゃなくって山っ気のある清吉ってところが不幸の始まり。

くらげちゃん、薄幸の女性が似合う。

でもただ運命に流されるだけじゃなくって、流されながらも必死に生きている感じが健気で泣ける。

心のうちに渦巻く葛藤の表現も素晴らしくってさすが芝居の上手い人だわ。

れいこちゃんとの並びもしっくり、しっとり。

今後が益々楽しみだ。

半次♪ちなつさん(鳳月杏)

ブラボーちなつさん!

同じ町人同士でも大店のお嬢さんと職人では身分違いなんだよ。どんなに好きでも叶わぬ恋だ。

その想いをぐっと自制している禁欲的な姿がも〜どストライクでした!

ソロ歌での「川霧がー♪」と上がっていくところの艶やかさ。

あの歌は初演のかなめちゃん(涼風真世)の印象がものすごく強いのだけれど、ちなつさんの歌も素晴らしかった!

より心情が深まっていて、あぁこれこそ芝居歌だなぁとしみじみ聞き入りました。

お組♪じゅりちゃん(天紫珠李)臨終の場面での抑えた演技が胸をうってポロポロ泣いてしまった。

お組さんは火事で全てを失い身を持ち崩すけれど清吉にとっては最期まで決して手の届かない触れることすら出来ないほど崇高な存在だったんだね。

清吉♪ありちゃん(暁千星)

ありちゃんむちゃくちゃ良かった!

中身が駄々っ子というか我慢がいっさいできないまま大人になり、殺しも厭わないようなクズ男が実にハマっていてびっくり。

歌も声量もすごくって迫力満点。

杉太郎♪れんこんさん(蓮つかさ)・辰吉♪うーちゃん(英かおと)

特にこの二人が印象に残りました。

いやもう相変わらずれんこんさん上手いんだわ。そして顔も声も好き。

江戸っ子だからとっても早口です。口跡がいいのがピッタリ。

威勢よくおしゃべりしても、ヒソヒソ声で話しても明瞭だし、セリフの間もばっちりです。

うーちゃんの火消し姿がかっこよかった~~~~!

「女房ってのはいいもんですよ。ごめんなすって」ってあたりの粋な艶っぽさも素敵で、こりゃ惚れちゃうね。

菊ちゃんがいるよ!

初演では後の初代宙組組長まゆさん(大峯麻友)が演じた菊三。

下がり眉に青々としたひげそりあと。ポっとしたおちょぼ口がなんとも可笑しな髪結いの亭主です。

まゆさんはこんなへんてこな外見の役作りで怒られちゃうかもと覚悟したそうですが、蓋を開ければ観客はもちろん、舞台裏でも大人気で楽屋ではお手製ブロマイドが出回ったという逸話が当時の楽屋日記などに書かれていましたっけ。

今回はスカイナビケーターズのあさぴくん(朝陽つばさ)が楽しそうに演じて微笑ましかった。あのビジュアルもそのまま引き継いだのね。

祭礼の場面では床几に座ってご機嫌に振る舞い酒を味わう姿がしっかりカメラに捉えられていました。

いるよね~~~~。こういう人。

この場面では芸者のはーちゃん(晴音アキ)の艶やかさも目を引きました。一瞬ニナちゃん(仁科有理)に見えたわ。

ちょんま♪みよっしー(柊木絢斗)も芝居がうまいね。

そして、名もなき市井の人々の何気ない会話が場面転換の折々に綴られているのがとても好き。

柴田先生の脚本って本当に素晴らしいわぁ。

長い時を越えてようやくの再演。大満足でした。

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