「NEVER SAY GOODBYE」新人公演LIVE配信感想

【2020-04-14】
LIVE配信感想

大劇場は中止期間と重なり新人公演を上演することが出来ず、東京宝塚劇場だけの一発勝負。

しかも当日マチネの前に舞台機構の不具合が見つかり(セリの故障かな?)急遽演出やセリフが変更され、開演時間も遅れたことをTwitter情報で知りました。

そんないつものパターンとは違う状況のなかでの上演。

LIVE配信もあるし、大変なプレッシャーだったのではないかと思います。

いや、そもそもLIVE配信を見るだけの私が朝からド緊張してましたよ。

キャサリン♪さーちゃん(春乃さくら)

だって大好きなさーちゃん初ヒロイン!

残念ながら冒頭の5分ほどを見逃してしまったものの、大急ぎで回線に接続して真っ先に映ったのはキャサリン大暴れの場面でした。

あ、さーちゃん、大丈夫だわ。

すぐに安心した。

こんなに芝居もできる人だったとは!

さーちゃんのキャサリンはとても理知的でジャーナリストとしての冷静さや分析力をしっかり持っているよう。

だからアギラールに監禁され十字架を前に歌い始めたとき、自分はもう愛する人と二度と会えないのだという事をはっきりと理解し、死を覚悟したのだと感じました。

もちろん歌詞を読めばちゃんと書かれているんだけれど、なぜだか今まで私はその心情を受け取れてなかったのよ。

花總まりさんのキャサリンをスカステで見た時は、むしろ宝塚とのお別れというダブル・ミーニングのほうに気を取られちゃってたのかも。

ラストの「この愛だけが 真実」のところは、さーちゃんであれば綺麗な裏声で歌うことも出来たであろうけれど地声でした。

すこしギリギリ感はあったけれど、まさに絶唱。

全身全霊を込めて気持ちを吐露するさーちゃんの姿にものすごく胸を打たれました。

ラストのジョルジュにフィルムを託されるところも、すごく良かったなぁ。

さーちゃんは姿も声ももちろん素敵だったけれど一番印象的だったのは、こういう何もセリフを発していない時の表情でした。

最初にジョルジュの部屋に乗り込んだところも、この別れのシーンでも、彼女の気づきとか強い思いとか、心の流れが大げさではなく、でもはっきりと感じられる。

LIVE配信だからこそより良くわかるその表情の色合いがとても好きでした。

ついていくことよりも、ここで別れることのほうがどれほど難しいか。

でも「同じものを見たい」という言葉の真意は単純に同じ場所で同じもの見たいというのとは違う。

ジョルジュが本当に目指したもの、伝えたいこと、つなげたいこと、それを理解しようというより自分の思いとする

そんなキャサリンの静かではあっても深い愛の形が感じ取れました。

素晴らしかった!

ジョルジュ♪ナニーロくん(風色日向)

さーちゃんキャサリンが聡明な大人の女性なので、童顔同期生のナニーロくんはちょっと年下に見えなくもなかったかな。

でも優しく爽やかで、なおかつ絶対的に正しいと思わせるヒーロー感もある。

実は私、これまでナニーロくんを舞台でしっかり認識したことがなかったんだけれど、うん、これは確かに真ん中行く人なんだな。と納得しました。

でも、その正しさの中にもうすこし憂愁とか鬱屈もほしいところ。

歌唱力はあるけれど発声がまだくぐもっているから、もうすこし声が前に出る感じがほしいところ。

と、ここまで思って気が付いた。

同じ学年ころのキキちゃん(芹香斗亜)にも全く同じことを言ってたわ~。

ナニーロくんの声はすこしハスキーなところがあるけれど、それがとても肌触りの良い魅力的なベルベットボイスなので、これからのさらなる進化に大いに期待!

ヴィセント♪こってぃ(鷹翔千空)

えっ?なぜ新人公演に出演してるの?っていうくらいの安定感と実力です。

とはいえ、さすがに今回新規に書き下ろされた銀橋ソロは難しいんだな。

キキちゃんの凄さをまざまざと知ったわ。

しかも、ちょっと痩せすぎてて心配になる。

今回はそれが凄みになっていたけれど。

私はこってぃの独特の色気が大好きなのですが、王道を行く姿も見たいのです。

この実力に華やかさも身につけたら無敵だと思う。

これでほんとに新人公演卒業。

こってぃのこれからにも大いに期待してるよ!

アギラール♪きょろちゃん(亜音有星)

悪役を気持ちよさそうに演じてました。

セリフが明瞭で声にも艶があってとても聞きやすい。

キャサリンに執着する感じに器の小ささを感じてしまうのは、まぁ、そういう脚本ではあるから仕方が無いのだけれど。

コマロフスキー♪いっぷー(惟吹優羽)はハッチさん(夏美よう)より人当たりが良いものだから、アギラールの独り相撲感が際立っちゃったのかな。

でも美しき悪。そしてそのあっけない末路。

人生の皮肉って感じで好きです。

エレン♪さらちゃん(愛未サラ)

前半はいかにも浅はかなハリウッド女優。

すんごい美人なのにどことなくこぼれ出るおかしみが面白い個性だわ。

なんとなくゆらさん(夏河ゆら)を思い出すなぁ。って思ったら前回「バロンの末裔」ではゆらさんが演じた後妻さんを演じていたっけ。

一転ジョルジュと別れるところは、切なくて。

あの前半のおバカキャラ具合って彼女がハリウッドで生きていく上での虚像だったのかもって気がしてきた。

ラ・パッショナリア♪ひいろちゃん(朝木陽彩)

本公演では美しく澄んだソプラノ歌唱でカゲソロを披露しているひいろちゃん。

そう言えば、配属直後の「オーシャンズ11」2幕冒頭のカゲソロでも美声を響かせていました。

高音でも声が細くならず、キンキンすることもなく、この声は一体誰?ってすぐにプログラムで確認しましたっけ。

もはや宙組名物のソプラノの歌い手。

それが今回なんと!全編ベルト唱法!

うわっ!こんな事も出来るんだってビビった。

ベルトの発声って単に大きな地声で歌うことじゃないのよね。

喉に一切の力みがなく、まさに全開放してお腹から(解剖学的には肺からですが)そのままの息幅でぶぁーーーっと声が出るっていうか。

喉をギュッとした無理矢理の地声とは響きがまるで違う。

あの美しく力強いソプラノ歌唱の秘密はここにもあるのか~と、すごく納得しました。

市長♪よねくん(雪輝れんや)

本役のりっつ(若翔りつ)が素晴らしくって新人公演はどうなるだろうって思っていた役のひとつなんだけれど、よねくんだったのか!

「群盗」の学生仲間ですごく芝居が上手いうえに声も良くってとても印象に残っていた人。

りっつにもけっして引けをとらない素晴らしさだった。

精悍な面構えもかっこいい。

大人の男役度を上げたね。

これから本公演でも、もっともっと活躍してほしい人だわ。

トム♪いとゆくん(湖風 珀)、パオロ♪ましろくん(真白悠希)

芝居がうまいといえば、いとゆくん!

彼がさーちゃんキャサリンを好きになる気持ちすごくわかるよ。

どれほど愛しているかも、どれほど苦しいかもすごくわかるよ。

しみじみ上手いな~

そして芝居がうまいといえば、ましろくん!

転んでもただでは起きない、強かな、それでいて筋が通った大人の男を見事に演じている。

ひげも似合っていたのには驚いたわ。

センチュリア・オリンピアーダ達

りせくん(大路りせ)

眉間のシワの色気にびっくりした。

ついこの前まで、可愛い苺トリオじゃなかったっけ?

いつの間にこんなに大人に!

なるくん(泉堂成)

仲間を裏切ることとなるオリンピアーダの中では目立つ役。

衣装のブカブカ具合によって漂う小者感が愛らしい。

そしてめちゃくちゃ運動神経が良さそう

のあんちゃん(鳳城のあん)

箱推し106期生のあんくんが早くもこの仲間に入れてもらえて嬉しい!

「センチュリア・オリンピアーダ」と歌い上げる声の響きが豊か

ダンスに男役らしい粋さがあることは文化祭映像で知っているのだけれど、冒頭のココナッツ・グローブの場面を見逃してしまっているのでスカステ放送のときに是非確認したい。

本当に素晴らしい新人公演だったので出来ることなら今すぐ見返したいわ。

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