スカステ視聴記録
観劇ブランクで失われた15年を取り戻すべく、引き続き懐かしの新人公演をぼちぼちとスカステ録画観賞。タイトル/組/主演/作演出/新公担当演出として記録します。
「源氏物語 あさきゆめみし」/花/彩吹真央/草野旦/川上正和
いろいろとツッコミどころ満載の源氏物語ではありますが、とにかくラストシーンのゆみこさん(彩吹真央)の悲愁の歌声が素晴らしい。
おくれ毛がはらりとした姿が切なくて、雅な平安絵巻というよりは因果応報の無残を表現したこの作品をこの若さでよく表現できているなぁと感心した。
それから銀橋での明石の上のみほこちゃん(彩乃かなみ)と紫の上のふーちゃん(ふづき美世)の場面にも感動。
こちらも宝塚的キラキラというよりは人間ドラマとして素晴らしかった。
みほこちゃんの中音域の歌声は本当に心に染みる。
そんなわけで新人公演とは思えぬ演技力の高さと歌の情感の素晴らしさで脚本・演出のぶっ飛び具合は相殺かな。
この頃の花組新人公演メンバーの豪華さよ!
みんな若いわぁ。
男役はみんな直衣が全然着こなせていなくて微笑ましかった。
狩衣は似合っているけど直衣はダボっとしてるから動きが幼いと無理なんだねぇ。
あ、でも、まゆさん(蘭寿とむ)はこのころからちゃんと蘭寿さんでした。 これまゆさんだけ日本物じゃないし人間でもないからかもだけど。下級生の頃からしっかり男役だったもんね。
そして、みつるさん(華形ひかる)のキュルンキュルンの可愛さに思わず頬がゆるむ。
「黄金のファラオ」/星/朝澄けい/中村暁
なにぶんサトル先生なので名作とは程遠い作品なのではないかとは思うのだけれど、なんだかものすごく感動しちゃった。
かよこちゃん(朝澄けい)とくみこちゃん(妃里梨江)が繊細で美しくて心が震える。
劇場で見てたらもしかしたら線が細いって思ったかもしれないけれど、なにせスカステ鑑賞なので二人の心優しく細やかな芝居がガンガンこちらに伝わってくる。
かよこちゃんってこんなに芝居も上手かったのね。
くみこちゃんもスカステで見たバウホール公演「夜明けの天使たち」での儚げな美しさが印象的だった人だ。
それから、ゆうかちゃん(椿火呂花)も無口な傭兵役なので表情は少し硬めだけど声の感じがちょっとみきちゃん(真矢みき)に似たハスキーボイスで素敵。
こんな人達を見逃していたとは…。15年のブランクをひたすら後悔。
さてさて、新人公演というものはなにぶん下級生ゆえ、ほんの一言二言のセリフでさえ大丈夫かぁ~~~?っていうくらいまだまだ拙い人もいれば、ほんの一言二言のセリフなのにむっちゃうまいやん!っていう人もいる。
ちらっと出てきた街の男のさやかさん(美城れん)がまぁ~~うまくてびっくりした。
その後にもパンを盗まれる店主の役でちょっとした見せ場があり、セリフの間の良さで見事に笑いをとってました。
この時まだ研3くらいかな?芝居のできる人は早くからこんなにも上手いものなのね~。
「望郷は海を越えて」/宙/久遠麻耶/谷正純/中村一徳
先月に見た「激情」に引き続きマヤちゃん(久遠麻耶)主演。
調べてみたらずんちゃん(姿月あさと)退団公演の「砂漠の黒薔薇」でも主演していたので3連続で新人公演主演だったのね。
当時宙組の御曹司だったのかな。
最初に配属されたのは星組でちょうど欠かさず見ていた頃なんだけど正直言ってこの人の記憶は全然ない。
まだ最下級生あたりとは言え、少なくとも当時私の目を引く存在ではなかったようだ。
その後の観劇ブランクを埋めるべく色々な作品をスカステ鑑賞したけれどどうも覚えていない。
スカステは映る人が限られるからキラリとひかる瞬間を捉えるのは難しいけど、それなりに目立つ役もついていたらしいのだが。
しかもどうやら早くに退団してしまったらしい。
いろんな人に新人公演主演のチャンスがあれば切磋琢磨することも出来るけれど(もちろん競争は激烈を極めることになるが)御曹司というものは孤独だ。
たとえまだ拙いところが多々あったとしてもその孤独の中で誰よりも努力を重ね、誰よりも高みを目指さなければならない。
一人では目標を見失ったり、その立場に自信を失ったりすることもあるだろう。
御曹司として育てるからには、それに耐え得る人材であるかどうかの見極めはしっかりしなければならない。難しいことではあるけれど。
宙組の男役育成ってこの頃からいまいち歯車が噛み合わなかったのかなぁ。
「ゼンダ城の虜」/月/霧矢大夢/木村信司/小柳奈穂子
よーし!みんな騒ごうぜぇ~~~!!
これもちろん観劇ブランク中の作品なのでスカステで見ただけですが大好きな冒険活劇。
知らずに見てたら本公演と思ったかもしれないほど、スターが目白押し。
主演は安心安定。高クオリティのキリヤン(霧矢大夢)なので本当に楽しかった。もう自由自在だね。
タニ(大和悠河)も本役のタータン(香寿たつき)の影響を受けてか、とても楽しそうに悪役を演じていてなかなかの新境地かも。
なんかいい感じに育成プログラムが敷かれているなぁ~。
みえちゃん(西條三恵)のヒロインもチャーミングでなおかつ意思が感じられる凛とした女性なのがとても良かった。
やっぱ芝居の上手い娘役さんだったのね。
そして、あかねちゃん(花瀬みずか)が演じた敵対する大公の愛人は母性と知性が感じられてすごく好き。
本役のコモちゃん(美原志帆)は演技が硬くどことなく上の空なところが女の業を感じさせてそれはそれで面白いなと思ったけれど、母性的なあかねちゃんの役作りのほうが好きかもしれない。
大公のあひ(遼河はるひ)の駄々っ子具合とのバランスもよかったしね。
今頃になって気がついたんだけれど、あかねちゃんって私が観劇再開させた時に月組副組長をされていた人だわ!
「バラの国の王子」の白い仙女とか、ロミオやオスカルのお母さんを演じていた。
美しくて温かみのある素敵な女役さんだなぁって思ってたんだわ。
となみ(白羽ゆり)が月組にいたことにびっくり。雪と星を行ったり来たりしてたのは知ってたけど。
昔は割とひょいひょい組替えあったよね。
スターさんはもちろん、ダンサーさんなど職人系の組替えとかもよくあってスカステで古い映像を見てても、あれこの人、この組だったっけ?って思うことがある。
演目に応じてとかスターさんの配分とか昇格とか、まぁ色々な将来図があるのだろうから、見てる側としては素直に受け止めるのが観劇を楽しむコツだと思ってる。
だからまどかちゃん(星風まどか)の専科組替えはたしかにびっくりしたけれど、次回出演作でさらに輝くことを楽しみにしているわ。
「ルードヴィッヒⅡ世」/花/彩吹真央/植田景子
これもちろん観劇ブランク中の作品なのでスカステで見ただけですが大好きな作品。
ゆみこさん(彩吹真央)って、こういう危ういバランスの儚げな青年が似合っていたのね。
とはいえなにせ安定した歌唱力、誠実な芝居力があるものだから、見る側からするとしっかりした支え役が合う人だと思っちゃうのかも。
高い実力があることは本来ならば喜ばしいことなのに、それが逆に邪魔になるなんて、なんとも皮肉。
トップスターになって欲しい人だったな。
ルードヴィッヒⅡ世が愛したのは幻でヒロインは人間ではないという、ちょっと難しい存在。
みどりちゃん(大鳥れい)の属性が母性寄りなので、新人公演は似通ったタイプのふーちゃん(ふづき美世)が演じることが多かったように思うのですが、この役は重力を感じないダンサーでもあるまーちゃん(舞風りら)で見てみたかったかも。
もちろんまーちゃんのシシィは素晴らしかったけど。
しかしまーちゃんって新人公演時代から三拍子揃った優秀な娘役さんだったのね。
まゆさん(蘭寿とむ)は二番手の役。
同期の間では無敵の首席のまゆさんだけど、当時、まゆさんにとってゆみこさんって絶対越えられない存在だったよなぁ~って思い出したわ。
新人公演もゆみこさんが上にいる間はやっぱり主演出来なかったのね。
でも、そうやって切磋琢磨したからこそやがて大きく花開くことが出来たのだよね。
コメント