懐かしの新人公演特集5

【2020-12-27】
スカステ視聴記録

観劇ブランクで失われた15年を取り戻すべく、引き続き懐かしの新人公演をぼちぼちとスカステ録画観賞。タイトル/組/主演/作演出/新公担当演出として記録します。

「愛燃える」/雪/壮一帆/酒井澄夫/木村信司

えりたん(壮一帆)雪組組替えにて満を持しての初主演。

これはっ!

すごい!

こんな難しい演目をよくぞ!

主要メンバーの芝居の確かさもあるけれど、なんといってもえりたんの呉王の役の捉え方が素晴らしい!

この学年で愛と憎しみという相反する感情を同時に表現するってそう簡単に出来ることじゃないと思うの。

この芝居が愚かな王の物語ではなく、きちんと悲劇になっている。

ピンと張った糸を切れてしまうとわかっていながら自らの意思で極限まで引っ張り、ついにはブツっと切れるように破滅を迎える王の孤独。

見事だわ。

えりたんは甘やかな男役さんではないので、こういう一筋縄ではいかない役が合っていたのかも。

でも甘~いラブロマンスのえりたんも見てみたいなぁ。そういう演目あったのかなぁ?

そして、こま(沙央くらま)が登場。早くも芝居心が必要な良い役がついているわ。うま~い!

「カステル・ミラージュ」/宙/椿火呂花/小池修一郎/植田景子

組替えにより主要メンバーがすっかり入れ替わった感のある宙組新公。

これは若手にとってハードルの高いスーツものでしたが、とてもレベルの高い新人公演でしたね~。

やっぱり組替えって組全体にいい刺激が加わるのね。

全体的にピリッと引き締まった感があります。

主演は星組ベルばら新人公演でもフェルゼンが端正だったゆうか(椿火呂花)。

声や喋り方がみきちゃん(真矢みき)によく似ているのですが、みきちゃんほどアクは強くないかな?

星組出身の割にはあっさりした個性なのでスタイリッシュな宙組にあっていたのかも。

このあとバウホールで主演してるよね。

「エイジ・オブ・イノセンス」スカステで鑑賞しましたがとてもいい作品だった。

でも早くに退団してしまったのね。残念だなぁ~。

そしてヒロインはかなみちゃん(彩乃かなみ)。

この前に見た花組時代の新人公演からびっくりするほど洗練度がアップ。

歌はもちろん大人のヒロインとしての芝居もうまくて、もう言うことない!って感じ。

「大海賊」/月/大和悠河/中村暁/小柳奈穂子

いい新人公演でした。

今回も新人公演にぴったりの若者の成長と恋が描かれた物語での主演。

タニ(大和悠河)は本当に大事に育てられたのね。

それに見事に応えた新人公演集大成といってもいい出来栄えでした。

ちょっと頼りない歌唱力もはね退ける勢いと輝きが感じられます。このぶっとんだ思い切りの良さこそスターの証だよね。

ヒロインのカノチカ(叶千佳)は素っ頓狂…もとい、天真爛漫な個性が面白い。

ちょっと頼りない歌唱力をはね退ける勢いと勇気をまだ持つことができなくて、まるで先生の前で1音1音丁寧に歌おうと努力しているように見てとれた。

まぁ、レッスンや稽古場までならばそれがまっとうな姿勢なんだけど。

とても綺麗ないい声なんだから、舞台の上では堂々と自信を持って!って見てて肩に力が入っちゃった。

でも、このあと星組に組替えになって「王家に捧ぐ歌」の迷曲「スゴツヨ」を思い切りよくぶちかます度胸がついた。

そう!それでイイのだ!

でもぶちかましてたのは主にウメ(陽月華)のほうだったのかな?

男役時代のるいるい(紫城るい)は下っ端だけどいっぱしの海賊気取りな若者をちゃんと表現。

コメディセンスが素晴らしいし動きにもキレがあって活き活きしてる。

だけど少年はいつか大人にならなきゃならない。

こういうタイプがうま~く大人の男役に変化していくのって、なかなか難しいのかなぁ。

娘役に転向するのか、男役を続けるのか、う~む実に悩ましい。

ちょっとあられちゃん(愛海ひかる)のことを思い出しちゃった。

るいるいは娘役としても実力者だと思うしトップ娘役にもなれたけれど、男役るいるいも大好きだ。

「琥珀色の雨にぬれて」/花/蘭寿とむ/柴田侑宏・正塚晴彦/荻田浩一

ついに見ました!

私の知らない蘭寿さんシリーズ。

ず~~~っと見たいと思っていた琥珀新人公演。

まゆさんが主演であることにはなんの異論もないけれど、似合う役はクロードじゃなくって絶対ルイの方だろう!と誰もが思っただろうね~。ダンサーのルイより絶対ダンスが上手い。

終演後のご挨拶でも「こんな純粋な役は始めてで~」って本人が言っていたくらいだもの。

ところがどっこい!一途で純粋で不器用なクロードがピタッとハマっていた!

シャロンと再会したフルールの部屋でのラブシーン。

キスをしようと顔を近づけたのに思いが高まりすぎてキスをせずに激しく抱きしめてしまうところなんてもう、ドキドキですよ!

純な男の不器用な、でもすべてをかけた恋!

たまらん!

ラストシーンの苦しみと悲しみと、ある種の諦念をもたたえた美しい表情も胸に染みました。

スーツにコート姿の蘭寿さんはこの学年でも絶品。

シャロンあすか(遠野あすか)も素晴らしかった!

本役のシャロンは包容力があって温かさがにじみ出てしまうみどりちゃん(大鳥れい)なので再演のシャロンっていい人感がでていたのですが(それはそれで、またいい味なんだけど)、あすかのシャロンは初演のひとみちゃん(若葉ひろみ)に近い感じ。

女が働くだなんて軽蔑している上流階級の奥様方から見たら、シャロンは財力のある男を踏み台にしている娼婦でしかないでしょう。

傍から見たら美しさを武器にした悪女。

あすかはそんな心を武装せざるを得ない女性のトゲトゲ感とその奥に隠された寂しさをとてもうまく表現。

悪女のベールの中に隠された彼女の心のまことがクロードだけには見えているのね。

フランソワーズのいちか(桜一花)も素晴らしい!

フランソワーズの肝はニースまで車で追いかけても、不倫旅行に乗り込んでも、それが嫌な女に見えてしまわないこと。

いちかのフランソワーズは子供の頃からクロードが大好き!というのが見て取れる健気な婚約時代から、人生の陰影を知り悲しみをたたえた若妻時代までちゃんと心と年齢の経過を表現し、しかもずっと嫌悪感なしの素敵な女性だった。

初2番手?まっつ(未涼亜希)は危なげのない芝居。さすがだわ。

陰のまっつ、陽の蘭寿さん。実にいいバランス。

こんな難しい大人の芝居だけどみんな口跡がよくって芝居もうまくて、もう大大大満足!でした。

「プラハの春」/星/涼紫央/谷正純/川上正和

本公演はしっとりと大人のムードだったのですが新人公演は新人公演らしく若者の熱さいっぱいでした。

とよこ(涼紫央)初主演。

意気込みが感じられる演技でした。

声が誰かに似てるんだけど~と思いながら見ていたのですが、チギちゃん(早霧せいな)だわ。骨格が似てるのかな?

けっして美声とは言えないんだけどまっすぐな若者らしい、主演としても好感の持てる声。

ことこと(琴まりえ)も初主演?

むっちゃくらっち(有沙瞳)に似ててびっくりした。

雰囲気のある美人なのにトップ娘役になれなかったのかぁ。

くらっちどうなるのかなぁ。ぴったりな男役さんにめぐりあわないかなぁ。

リアル男系で大人っぽい人希望。でももはやそういう男役は絶滅危惧種かも。

そしてチエちゃん(柚希礼音)。

男役としては演技も歌もまだまだ発展途上中なんだけれど、三角形の頂点で踊った時の求心力にはびっくりした。

本人もダンスには絶対の自信があるからだろうけれど、表情といいオーラといい、、芝居をしている時とは別人のよう。

おー!こりゃトップスターの未来が見えたぞ!という瞬間だった。

そしてソ連軍兵士の一人にまぁくん(朝夏まなと)が!

そうか初舞台か!

背が高くて細身でひょろひょろだけれど、いかつい軍服に機関銃装備なのですごくかっこよく見える。

走る姿も初舞台生とは思えないほど男役として決まってるわ。


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