観劇感想
悪役、それも血も涙もないタイプの美しい極悪人がゾロゾロという前情報にウキウキ劇場に向かいました。
宝塚の悪役って大好き!
時代劇版オーシャンズ11って感じにずらりと勢揃いした時はめちゃくちゃ滾りましたよ。
さぁ、女たちよ!
思う存分やっつけちゃって下さい!
七本槍もさぁ、女たちのように7人まとまっていりゃぁ十兵衛相手にだって善戦できただろうに、どうも単独プレイに陥りがちな性分で。
敵であろうが味方であろうが人の命なんぞ虫けら同然っていう彼らのスタンスがよーく現れてるよねぇ。
そういう弱点を見抜いてひとりずつ片付けていく十兵衛の作戦勝ちでもあるのでしょう。
そしてその分、斃される七本槍一人一人の見せ場はしっかりありました。
平賀孫兵衛♪ぴーすけ(天華えま)
登場シーンで7人の中でも特に印象が強かったのがぴーすけ。
目が完全にいっちゃってましたね。
ロミジュリのマーキューシオの時もかなりいっちゃってましたがその瞳の中には繊細さが感じられました。
しかし今回は完全に完璧に!イカれてます。
美しいのに残酷。
懐手にした手を衿から出し、ちょっと上目遣いに獲物を品定めしながら薄笑いしている表情から目が離せませんでした。
マフラーもカッコよかった〜。
一番最初にやられちゃうんだけどね。びっくりしたわ。
でも、だからこそのインパクトがありました。
大道寺鉄斎♪ちゃりお(碧海さりお)
あまり悪役に向かないお顔立ちだけどメイクと表情で作り上げてました。
目力が強くて憎々しげだったわ。
最期は牢獄の格子で串刺しされたのかな?
なかなかエグい死に方で迫力満点。
薄ノ巣廉助♪あかさん(綺城ひか理)
ヒゲのビジュアルはすっごく好み!
なのですが…見せ場的にはちょっと印象薄かったような。
素手で勝負の拳士というのはさすがに見せ方が難しかったかもしれません。
香港映画大好きだったのでどうしても拳法方面には目が肥えてしまうのよね。
あかさんは背が高くて腰高になりやすく、また首が細くて補正も少ないのか身体が薄く見えてしまった。
男性の和装は恰幅が良い方が映えるのよ。
でも知性的で人間の深みを感じさせる表情は大好きです。
次はその個性を活かせる役だといいな。
具足丈之進♪かなえさん(連レイラ)
健気な兄弟の天丸、地丸、風丸を盾に使う一番酷い悪人。
いつもニッコリ口角上がっているのが逆にヤバい奴感を醸し出してます。
男っぽい美丈夫タイプのダンサーさんだから腰の座り具合といい、動きの切れ味といい迫力あって本当にカッコいい。
卒業は寂しいよ。
司馬一眼房♪ひーろー(ひろ香祐)
前から薄々気がついてはいたのですが、私ひーろーの事めちゃめちゃ好きだー!めっちゃカッコよかったー!
悪人を演じるひーろーってあんまり記憶がないのですが、さすがの芝居巧者。手強いわ。
舞台ど真ん中の石段で果てているのがエモーショナルだったわ〜。
これからもずっと星組を支えてね。
香炉銀四郎♪かりんちゃん(極美慎)
桃太郎風味の美少年。
目の前の剣士があの有名な柳生十兵衛であると聞かされ悪人全員に緊張感が走った時に一人だけ
「何それ美味しいの?」
みたいな表情してたのにウケてしまった。
柳生十兵衛のこと知らんかったのかい!
無邪気に非道を楽しむまさに新人類。
漆戸虹七郎♪せおっち(瀬央ゆりあ)
常に人を見下したような視線がクールな二枚目。
ゆらとかつて恋仲だったようですが、別に好きでもなんでもない風でした。
でもおそらく抱くだけは抱いているのでしょうね。原作は読んでないけど山田風太郎だし。
そういう意味でも、とにかく心が氷点下。
せおっちはショーでは星組らしい熱さを感じる男役ですが、芝居となるとこんなにも冷ややかな美しさを感じさせる。
十兵衛♪こっちゃん(礼真琴)との対決も見応えあったわ〜。
「宮本武蔵」の巌流島でもこれぐらいの演出があったらという思いがチラリとよぎったけど、まぁそれは今更言ってもしょうがない。
とにかくあの時の佐々木小次郎よりも見せ場がありました。
スカステで見た「ル・ミュゲ 鈴蘭」の敵役からずっとその飛躍を信じて、成長をを楽しく追ってきたせおっちが遂に大きく羽ばたいていく予感にワクワクしました。
芦名銅伯♪あいちゃん(愛月ひかる)
やっぱり私は麗しいあいちゃんが好きなのです。
銅伯という役はたとえばはっちさん(夏美よう)が演じたとしても十分成り立つよなぁ。
そしてあいちゃんが美剣士の漆戸虹七郎でトップ・二番手ガチ対決のクライマックスっていう脚本演出にだってできたはずなのに。うぅぅ。
怪演で花が開いてしまったあいちゃん。
集大成の卒業公演では妖しくも美しい人外を演じさせたいというのもわからなくはないです。
ラスボス感と妖気漂う色気はさすがでした。
私の好きな麗しのあいちゃんは戦いに敗れた回想シーンで見られたからよかったわ。
雪の中、骸となった数多の兵士たちに
痛かったであろう。苦しかったであろう。口惜しかったであろう。
と語りかける姿は美しくも壮絶。
その繊細にして孤高の美をしっかりと目に焼き付けました。
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