さり気なく男役の美学「ラスト・プレイー祈りのようにー」

【2016-10-14】
スカステ視聴記録

あさこ(瀬奈じゅん)ラスト公演スカステ録画観賞。

作・演出は正塚先生。

これでもか!とサヨナラを強調する作品も気分が盛り上がっていいけれど、こんな風にさり気なく明るくサヨナラするのも素敵です。

ただねこれ。

実際に舞台を観た人、どうだったんだろう。

頻繁にあさこのモノローグがあるのだけれど。

それがすべて事前録音のナレーションなんだよね。

小さなバウホールならいざしらず、広い大劇場で微妙な表情の変化を感じることは難しいから、ナマの舞台を観に行ってただひたすら録音のナレーションを聞き続けるのって、ちょっと悲しいな。

映像で見る分には映画みたいで素敵でしたけどね。

正塚先生は小道具も装置も使わないエチュード方式を使ったり、微妙な台詞の間で、くすっと笑わせたりとすごく演劇的なところもあれば、一方で音楽の入り方やモノローグとかが映画を思わせるようなところもあってそこが面白いなぁと思う。

まぁ、あんまり大劇場的ではないかもしれないけど。

でも好きだな。

こんどの「ケイレブ・ハント」も楽しみだわ。

さて登場人物ではマサオ(龍真咲)がミステリアスな雰囲気があって良かった。

ちょっと、くずれた感じ。

だけど、すっと背が高くスリムだから清潔感があり、感覚が軽やかで自由でとっても現代的。

次世代型スターなんだなぁ~。と思った次第。

でも、なんだかトップの時と感じが少し違うのね。

このくらい秘めた部分があるほうが好きなんだけどな~。

トップの時はオーバーなくせが目立った気がする。

特に正塚作品の場合、そう抑制の美とでも言うのだろうか。

これは燕尾のダンスにも通じる男役の魅力的な姿のひとつだと思うの。

エネルギッシュで発散型のきりやん(霧矢大夢)に対して、たゆたうようなあさこの芝居。

ラストにこういう発散できない抑制型の役でさりげなくサヨナラというのも男役の美学だと思うわ。

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