スカステ視聴記録
感想を書くをすっかり忘れていた。
演出で面白いなと思ったのが場面のつなぎの部分が「暗転にBGM」じゃなくって登場人物が順々にちょっと懐かしめの洋楽を歌ってくれる。
その歌がBGMとなって、別の人達のそれぞれの事情が描かれていくところ。
ボーカルオーディションの物語にふさわしい、なかなか素敵な演出でした。
そのなかでも、ちなつ(鳳月杏)が歌う「Open Arms」はもともとの1980年代の洋楽(Journey)も、とても懐かしいのですが、この曲って私が初めて観たなつめさん(大浦みずき)の舞台バウショー「マイ・シャイニング・アワー」の中でなつめさんが歌われたのです。
その時に、私の心は全て、なつめさんに奪われたのだ。
そんな大切な、大切な曲をちなつはとても誠実に心をこめて歌ってくれた。
なんだか、心の大切な部分を優しく包んでくれるようでした。
さて、ストーリーは大好きなバックステージ物。
なおかつ、大好きな群像劇。
ということで、とても楽しめました。
「コーラスライン」(映画版じゃなく舞台版)とかね。大好きなの。
「スターダム」も「コーラスライン」のようにオーディションに集まった人々の物語。
そんな中ひとり、ちなつ演じるリアムだけは、その人物背景が描かれない。
歌の才能はある。歌に生命を捧げる決意もある。
だけど、どこかまだ道に迷っているような雰囲気を醸し出している。
それを審査員であるタソ(天真みちる)演じるサイモンにも指摘される。
けれども2幕になるとただ一人の友人あれん(亜蓮冬馬)の為、まっしぐらに突き進んだり、そのヤバイ生い立ちが、語られたりする。
なるほど、それで人との深い関わりを拒んでいるような雰囲気が出ていたのね~。
正塚作品はオリジナルのあてがきなので先生がその人の本質をどのように捉えているのかをその役柄から感じ取ることが出来て面白い。
思い出すのは「カナリア」で蘭寿さんが演じた犬にされてしまうディジョン。
もともとはヤバイ人だったのに、犬になると可愛い可愛い。
蘭寿さんは早くから男役芸が出来ていて、研2の時に研20なんて言われていた。
「カナリア」辺りの頃はジゴロ役も多くて、とにかくキザでカッコイイ男っぽい個性が描かれることが多かった。らしい。
ところが、犬である。
しかも人懐っこい。
そして可愛げがある。
蘭寿さんって、本質は可愛いものね~。
正塚先生はそういうふうに蘭寿さんを捉えてたのね。と、今改めて「カナリア」を観ると納得の役どころなのである。
だから多分、ちなつは多くは語らない。
やる気オーラがメラメラではない。
淡々と、しかし力強くごまかすことなく、ただひたむきに芸の道を進んで行く人
なのだろう。
花組は昔からそういう人がとても尊敬され、大切にされる組であった。
今もそうであると願いたい。
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