観劇感想
どうもダメ男が好きらしい。
いや、実際に付き合うのはごめんよ~。
あくまでも舞台上だけ。
誰もが心の弱さを何かしら抱えているから完璧なヒーローにはかえって共感出来ない。
壁に立ち向かったり、そこから逃げたりしてもがきながら少しずつ前に進んでいく、あるいは敗れて消え去っていく様が描かれる芝居が好き。
思いつくまま、私の好きなダメ男列伝
「Crossroad―すれ違うばかりじゃやりきれない―」
じゅりちゃん(樹里咲穂)♪破滅型の男デュシャン
「嫌いなんだよ。お前泣いたら汚い顔になるから」
「マラケシュ」
おささん(春野寿美礼)♪詐欺師リュドヴィーク
「ひどい男です。ひどい男に、またひっかかった」
「銀ちゃんの恋」
のんちゃん(久世星佳)♪言ってることめちゃくちゃな映画スター銀四郎
「俺を一人ぼっちで放おっておくつもりなのか!俺行っちゃうぞ!止めねーのか!小夏~~」
ただしダメ男が魅力的だと思えるためには高い演技力が必要だと思う。でなきゃただのダメ男。
さて、本日観劇の「舞音-MANON-」のシャルル(龍真咲)は宝塚で演じられた中でも最低レベルのダメ男でした。
彼が魅力的に見えるかどうかは、まぁ、観る人によるかしら?
ただひとつ言えることは、ラストの舟のシーン。
死んだマノンを抱えるシャルルと後ろ向きに佇むシャルルの影の構図は松井るみさんの舞台デザインとも相まって大変美しく、心に沁みるものでした。
この最後の美しい瞬間のためだけにつかず離れず現れる彼の影(美弥るりか)を配したのじゃないかと…
もしも彼の影とともにあるこのラストシーンがなかったとしたら、シャルルというダメ男には魅力を感じられなかったかもしれません。
終わりが素敵ならすべて良し。
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