観劇感想
たまきちくん(珠城りょう)お披露目公演「グランドホテル」観劇。
日本でも何度か上演されたけど、観たいと思っていながら今まで観る機会がなかったのだ。
グランドホテルといえば、そこを訪れては去っていく人々を描くという「グランドホテル形式」なんて名称があるほど群像劇の古典。
群像劇好きとしては、ぜひとも観ておきたい作品。念願の初鑑賞!
役替りも何パターンかあるらしく、本日は
- フラムシェン♪海乃美月
- ラファエラ♪暁千星
- エリック♪朝美絢
みんな素敵な歌声でした。
特にくらげちゃんの声、パキっとしてて、ものすごく好みです。
さて、今までは余命宣告されたオットーを中心に描いていたそうですが、今回は形を変え男爵が主役。
しかしこの男爵という人、どうもちょっとよくわからないのです。
あんな豪勢なホテル、それこそオットーのように全財産手元になければとてもじゃないけど泊まれないわよ!と思ってしまう私は、悲しいかなどこまでも庶民。
何ヶ月も宿泊費を払わず。
ちょっと綺麗な女性がいれば、挨拶代わりに口説き。
いよいよ追い詰められて渋々宝石を盗みに入ったというのに、部屋に帰ってきた女性をまた口説き。
それは言い逃れの口先だけなのかと思えば、何と本気の恋に落ちる!
借金のことも何もかもすっかりどこかに飛んで、彼女とウィーンに行くことで頭がいっぱい。
稼ぐことも盗むことも、女性から巻き上げることも出来ない、いや、しないのか…。
それが彼のエレガンス、なのかな?
グランドホテルも強いて彼を追い出したり、代金を取り立てたりしないのは、彼が放つエレガンスがホテルを美しく彩るからなのですね。
さて、たまきちくんの男爵はそんな退廃的なエレガンスという点ではまだまだこれからかなと思った。
なんというか、可能性がみっちり詰まっているのに、まだ何者でもない、という感じ。
退廃ではなく未完成であるゆえの美しさ。
そして、人生経験みっちりつまった年上の女性にひと夜で本気の恋に落ちる。
そう、これから彼の本当の人生が始まる!と思ったとたん。あっという間に…
死んでしまうのね。
映画を観たことがあるのでそうなる事は知っていたけど、男爵主役なのでもう少しあと、きっとそれは最後になるのだろうと勝手に思っていた。
あれまぁ、すこし早くない?この後どうすんのよ主役不在で~~。
ところがビックリしたことに、たまきちが舞台から消えてからの、その存在感(というのかな?)がすごい。
不在の人間の存在感ってあるんだね。
あの若くて可能性がみっちり詰まった、そしてとても美しかった青年の不在。
ぽかっと真ん中が空っぽになった感じ。
整然とした舞台空間が、その真ん中の空虚感を際立たせていて、そこがまた美しい。
ま、その後すぐにバラの花束を抱えて登場しましたが…。
群像劇とはいえ、紛れもなく男爵が主役なのだわ。と感じられた瞬間でした。
そんなわけで、たまきちくん、まさしくあなたは男役トップです。
就任おめでとうございます!
これからその詰まった中身からどのようなものが飛び出してくるのかが、とっても楽しみ。
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