懐かしの新人公演特集10

【2021-03-27】
スカステ視聴記録

観劇ブランクで失われた15年を取り戻すべく、引き続き懐かしの新人公演をぼちぼちとスカステ録画観賞中。タイトル/組/主演/作演出/新公担当演出として記録します。

「JAZZYな妖精たち」/月/真野すがた/谷正純/荻田浩一

これはなかなか困った演目ですね~。

芝居というのは内容なんてぶっ飛んでてもそれなりに成立しちゃうところもあるのだけれど、さすがに新人公演では厳しいです。

あいあい(城咲あい)はヒロイン経験もあるし、余命宣告されながらも懸命に生きる女性の心情を細やかに演じていましたが、経験不足の男役さんたちにとっては、いったい何をどうすればいいかわからないような脚本だったことでしょう

そんな中、妖精王オベロンのまさお(龍真咲)はそんなの関係ねぇ!と言わんばかりのキラキラ笑顔を放ってました。

羽根の効果もあって、なんかトップの時とそんなに変わらない姿に妙にホッとしたわ。

みりおちゃん(明日海りお)はまだ頬がぷくぷくなのはわかるとしても、警官の制服が中学生の学ランにしか見えないくらい声も芝居も可愛らしくて驚いた。

娘役に転向したるいるい(紫城るい)の前例もあるし、色々言われたり悩んだりしたこともあったんじゃないかしら。

ここからよくぞ踏ん張って男役として大きな花を咲かせてくれたわ。

本当に紙一重というか、なにがどう運命を分けるのか。男役というものは実に奥深い。

「ベルサイユのばら」/星/柚希礼音/植田紳爾・谷正純/鈴木圭

主要キャストはみんな経験豊富なこともあり素晴らしい新人公演。

なかでも、まひろちゃん(麻尋しゅん)のオスカルが胸をうちました!

植田歌舞伎の型をたどるのではなく役の感情が大切にされている。

久しぶりに橋からバスティーユにかけてのシーンでボロ泣きしましたよ。

だって、ただただアンドレだけを求め、アンドレだけしか見えていないのだもの。

愛する人の痛みと苦しみを我が痛みとして必死に手を伸ばす姿。

離れているのにまるで抱き合わんとしているようで本当に切ない。

アンドレの死後、半身をもがれたように語り始めるバスティーユ攻撃への独白、鬼気迫る「シトワイヤン行こーーー!」にヤンさん(安寿ミラ)オスカルの感動を思い出しました。

ともみん(夢乃聖夏)のアンドレがこれまでにない切り口でした。

アンドレって幸せだったんだ!

好きな人の側にずっといられて、ずっと守っていて、もうそれだけで十分に幸せだったのね。

オスカル毒殺未遂なんて絶対起こさないアンドレ。
フェルゼン版だからそもそもその場面はなかったけど。

ひだまりのような包容力でいつまでもいつまでも隣りにいて欲しい人。

それゆえに橋の上での最期のシーンが涙を誘った。

みっきー(天寿光希)の小公子がキュルンキュルンに可愛かったよ~~~。

たった一言のセリフでもめちゃめちゃ上手いはるこ様(音波みのり)。

そして、チエちゃん(柚希礼音)はラスト新人公演主演。

集大成でした。

フェルゼンソロ歌に男の色気や情感あって、もうそのトップ姿を容易に想像できるまでになりました。

ついにここまできたわ~と感無量。

「ベルサイユのばら」/雪/沙央くらま/植田紳爾・谷正純/鈴木圭

コマ(沙央くらま)のオスカルは美しくて古典的でした。

初演のころのオスカルってこんな感じだったかなぁ。

一方りかさん(凰稀かなめ)のアンドレはスラリとスタイリッシュ。

包容力はちょっと少なめ。

ふたりとも芝居が上手くて申し分ないのに、合わさるとなぜかあんまりしっくりこないのはなぜ?う~~ん。

そもそもマリー・アントワネットの出てこないベルばらって、なんかやっぱり気持ちが乗らないのよね。

演じた人達に罪はない

「Never Say Goodbye」/宙/早霧せいな/小池修一郎/小柳奈穂子

フランク・ワイルドホーン作曲の歌がたっぷりのミュージカルで難易度は高い作品ですが素晴らしい新人公演でした。

ちぎちゃん(早霧せいな)初主演!

精悍で行動的な青年がぴったり。

まだ頬のラインは柔らかいけれど男っぷりが上がっていてとてもかっこよかった。

たかこさん(和央ようか)と音域があっていたのかな?

けっして歌うまさんではないけれど、なんなく高い声がだせるのは強みだわ。

幕開きの闘牛士の衣装のみーちゃん(春風弥里)に滾った!

2番手役だったのね。歌も芝居もさすが。

この頃からそこはかとない色気があって、何かといえば恋人と口づけを交わすところなんか情熱的でハクハクしましたよ。

みーちーだい。カチャ。かいちゃん。

ずらりと揃った宙組若手男役。カッコよくって眼福。

「愛するには短すぎる」/星/和涼華/正塚晴彦/児玉明子

この作品大好き!

豪華客船でのたった4日間を舞台とした笑いあり、ペーソスありの佳作。

正塚先生なのでテンポの良いセリフが噛み合わなければズッコケてしまう難しい作品でもあります。

宙組から組替えのしみこちゃん(和涼華)は名前のとおり涼やかで美しいお顔立ち。

この役はその根っこにバカ正直と言っていいくらいの誠実さなければ成り立たないのですが、しみこちゃんのすこし不器用な雰囲気がそれを醸し出していてとても良かったです。

組替えでいい作品に巡り会えました。

そして丁々発止の掛け合いがこの芝居のキーマンとなる2番手はあかしちゃん(彩海早矢)。

これまで見たスカステの放送ではダンサーとして印象に残っていましたがこんなにも芝居の反射神経があった人だったのね。

オープニングの男女のセーラー達のダンス。舞台全体が映っていて顔は見えないのだけれど中央で踊る娘役さんがパッと華やかで誰だろう?って気になりました。

技術で目を引いたのではなく(いやもちろんちゃんと上手くはあるのだけれど)なんというかとにかくオーラが半端ない。

アップになってウメちゃん(陽月華)と判明。なるほど~。

一緒に組んで踊っているのはまひろちゃん(麻尋しゅん)でした。

うむむ。スタイルも身のこなしもまだまだ女の子だわ~。

新人公演でアイーダやオスカルが素晴らしかったまひろちゃん。

やっぱそれだと男役としての修行が足りなくなるのかなぁ。

ほんの一言の短いセリフで場をさらうみっきー(天寿光希)。

そしてランチをサーブする超イケメンのボーイが若き日のゆりか氏(真風涼帆)。この頃からTHE男役!。

「堕天使の涙」/雪/凰稀かなめ/植田景子/小柳奈穂子

この本公演はスカステで一度見ているのですがほとんど内容を覚えてませんでした。

新人公演は技術はまだまだだけれど、すべてのピースがピタリとハマったようで素晴らしかった!

こんな話だったのか~。

人生の残酷の数々が描かれた群像劇。好きなジャンルだわ。今頃気づいたよ。

ヒロインのさゆ(大月さゆ)はスカステでこの頃の雪組作品を見ると本当に達者な演技でいつも印象に残っていた娘役さん。

てっきりもっと学年が上のベテラン娘役だとばかり思ってました。

本公演だと超ダンサーのまあちゃん(舞風りら)が卒業なのに青白い顔したままずっと寝ていて、なんだかなぁ~と思ってしまったのだ。それで話の内容が頭に入ってこなかった。

さゆちゃんは演技が上手いし、踊らない不満というのを感じることがないので素直に物語を受け止める事ができました。

スターはこうであらねばというフィルターがない分、新人公演のほうがその物語の本質が見えてくるのね。

コマ(沙央くらま)はこういう複雑な役を演じさせたらさすが!

誠実な青年のせしこ(大湖せしる)も好演。

せーこ(純矢ちとせ)は特にその背景は描かれていないけど、彼女の血の熱さがちゃんと透けて見える。

そしてなによりテルキタ(凰稀かなめ&緒月遠麻)のケミストリーですよ!

なんというか。二人の出会いのシーンからもう、ものすごく耽美。

ドキドキでした。

テルの冷ややかな美貌、キタさんのムンムンの男の色気。

二人の間に流れる濃密な空気。本当にすごいな。

そりゃぁ宙組に呼び寄せたくもなるわ。

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