バウならでは「SANCTUARY」3

【2016-04-29】
スカステ視聴記録

素晴らしい演技をじっくり見ることができるバウホール公演。

とくにこの「SANCTUARY」では人物描写がそれぞれに面白くとにかく惹きつけられました。

見応えたっぷりだったわ~。

カトリーヌ・ド・メディシス♪せーこ(純矢ちとせ)

もし、宝塚にアカデミー賞があるならばこの年の最優秀助演女優賞はせーこです!

一瞬でも気を抜けば、それは死を意味するようなすざましい権力闘争に身を置きながら
それでも母であったのだと・・・
深く思い知らされる演技。

本当に素晴らしかったわ~。

この人の演技で
「王家に捧ぐ歌」のアムネリス様を観たかったです。

きっと美しく、傲慢でありながら賢さも持ちあわせたエジプトの女王として納得のオーラを放ったことであろうに。

ルグジェリ♪きゃのん(花音舞)

王妃付きのいわくありげな老調香師。

ずっと腰を曲げているのも大変だと思うけれど、ただ、腰をかがめているだけではない。

老人特有の足の運び方も完璧。

しかし、それよりも私が驚いたのは彼女の目の演技。

盲目という訳ではないのだけれど、どうも、焦点を結ぶ部分はよく見えていないらしく常に視野の端っこを使って見ている。

老人性白内障?

いやぁ、すごいわ~。

老いたカトリーヌ・ド・メディシスと寄り添う小さな姿には涙が溢れた。

とにかくこの二人があまりにも上手いので対抗する主人公プロテスタントのアンリの母を演じたあいこ(花里まな)はちょっと割りを食ってしまったかも。

熱演していたけど、それがちょっと空回りだったかな。

若い人が老け役って、やっぱり普通は難しいよね。

もう少し説得力のある演技ができていたらその後の主人公の煩悶がはっきり浮かび上がってくるのだが。

シャルル9世♪あきも(秋音光)

熱演が空回りにならなかったのがあきも。

情緒不安定で常に恐怖にかられているのだけれどそれがけっして一本調子にはならず色々な恐怖の表現で演じている。

本当に熱演。

こんな下級生がいたとは!

アンジュー公♪かなこ(春瀬央季)

後のアンリ3世、弟のかなこは面白い個性ね。

シュッとしたイケメンなんだけれど、なんともシニカル。

この個性が今後どんな風に生かされていくかちょっと注目したい。

ギーズ公♪りんきら(凛城きら)

お芝居の上手い生徒さんなんだけど今回はすこし全力で悪役を演じすぎたかしら。

なんというか分をわきまえすぎだよ。

たとえ演出家になんと言われようと、せっかく主人公と対抗する、しかも恋敵?(一方的にだけど)という美味しい役なのだから、もっと色気のある役作りでもよかったと思うのだが。

大劇場の「Shakespeare」でも老け役だったしなぁ。

どうか
りんきらに二枚目を演じさせてあげて~~。

王妃マルゴ♪ゆうり(伶美うらら)

そのオドロオドロしいくらいの美貌で中世ムードを盛り上げた。

だだ歌、特に裏声が不安定なのが、娘役としてはつらい。

それ少々の音程はずしは、まぁ我慢するとしてもとにかく声が出ないことには。ねぇ・・・。

なかなか深みのある地声は出るのだけれど裏声に切り替わると途端に弱々しく囁くようになってしまう。

確か、れーれ(すみれ乃麗)もそういう傾向があったよね。

私は裏声派なのでどうしてそんな風になってしまうのかがよくわからないのだけれど。

なんとかこれを克服しなければクラシカルなソプラノ歌唱が基本の大劇場ヒロインは厳しいかもです。

まぁ、ほぼ裏声オンリーの裏声派はポップスとかジャズとかカッコいい歌が歌えなくて悲しいのだけれどね~

さて、あいちゃん(愛月ひかる)についてはまた、次回に!

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