スカステ視聴記録
バウ・ゴシック「SANCTUARY」
がっつり中世のお話。
同時代イギリス(イングランド)はエリザベス1世。
日本は織田信長あたりでしょうか。
この時代辺りの西洋史が割と好きなので随分色々な小説やら歴史本やら読んだはずなんだけどね~。
佐藤賢一、藤本ひとみ、塩野七生。
小西章子の「華麗なる二人の女王の闘い」とか大好きだし、小説じゃないけれど阿部謹也、森 護の本も面白い。
でもすぐ忘れちゃうんだな~。
なのでここで、忘れないよう世界史覚書。
当時のフランスはお城は暗い要塞だし、武器の短刀で肉を切って手づかみで食べるような戦争に明け暮れる、まだまだ野蛮な国。
そこにルネッサンスの華イタリア、フィレンツェの富と権力を握るメディチ家から莫大な持参金とともにお輿入れしたのがせーこ(純矢ちとせ)演じるカトリーヌ・ド・メディシス。
彼女がフランスに来たことで、テーブルマナーとか目にも鮮やかな料理やお菓子とか、その他様々なイタリアの華やかな文化がフランスにもたらされたらしい。
彼女の子どものうち3人の息子がフランス王となります。
フランソワ2世は有名なスコットランドのメアリー・スチュアートの旦那さん。
因みにメアリー・スチュアートはりんきら(凛城きら)演じるギーズ公とは従姉妹になります。
ギーズ家はこの若き王を意のままに操っていたわけ。
しかし、すでに若くして死去のため、この芝居では描かれず。
その後、10歳で王位を継いだのがシャルル9世♪あきも(秋音光)。
カトリーヌ・ド・メディシスは摂政となりカトリックのギーズ家とプロテスタントのブルボン家を互いに争わせることで彼らの勢力を削ぎ、ヴァロア王家の安泰を図るわけです。
神経の細い王はサン・バルテルミの虐殺を命じたことで寿命を縮めその2年後に24歳の若さで死去。
続いての王は、アンジュー公ことアンリ3世♪かなこ(春瀬央季)
この芝居ではギーズがアンリ3世を殺すけれども実際は逆でアンリ3世がギーズを暗殺したらしい。
で、アンリ3世は復讐を誓ったギーズ派の男に短刀で刺されて死んでしまうのだ。
ここまでがカトリックの人々。
アンリ3世に跡継ぎがいないために王位はプロテスタントのあいちゃん(愛月ひかる)演じるアンリ4世のもとに。
これが、宝塚ファンお馴染みのブルボン王朝のはじまり。
アンリ4世はカトリックに改宗するもののナントの勅令でプロテスタントに権利を与えヨーロッパでは初めて個人の信仰の自由を認めた賢王なのだ。
この芝居ではお小姓オルトン♪まりなちゃん(七生眞希)を救うためカトリックに改宗すると描かれているのだが、
お小姓一人救えぬものは民も救えぬ!それが、いつの日か多くのプロテスタントを救う!
と思ってのことなのかも~。
もちろん史実通りというわけではないでしょうが上手に嘘をついてくれれば史実に忠実に描くよりも、そのほうがずっとドラマチック。
あ、でもね。
シャルル9世がコリニー提督♪まっぷー(松風輝)を殺してしまう時に使うあのおしゃれなピストルはイカンよ。
弾込めて~
火つけて~
が、この時代の銃じゃないかな?
もう火打ち石式の銃はできていたのかな?
にしたっていくらなんでも、あんな近世的な小銃であれこれあった末に、いきなりバンッ!!なんてそりゃぁ、まだまだ無理だわ。
たとえば次の月組作品は同時代の織田信長を描いてもロック・ミュージカルで衣装も現代的でスタイリッシュだから、たまきち(珠城りょう)がおしゃれなアンティーク銃をぶっ放してもむしろカッコいいけれど。
史実通りの火縄銃じゃぁ、かえって萎えるもん。
この「SANCTUARY」では
天から降り注ぐような素晴らしい音楽(斉藤恒芳先生)と
切り裂くような背景が印象的な装置(大橋泰弘先生)によって
緻密に積み上げられていったおどろおどろしい中世のムードがあの近世的なアンティーク銃ひとつで一瞬にしておじゃんになっちゃう。
これは、もったいないな。
コリニー提督は銃撃を受けた史実があるとはいえ(犯人はシャルル9世ではないけど)凶器は銃でなくてもいいような気がします。
短剣とかね。
そのほうがシャルル9世の狂気がより生きてくると思う。
衣装はあいちゃんが黒で、悪役ギーズ公のりんきらが白なのがわかりにくいっていう意見もあるようなんだけれど、そんなに単純な図式化で色分け出来る話じゃないと思うの。
当時のカトリックから見ればプロテスタントは邪教。
あいちゃんだって母の死の真相や妻マルゴに対する不信やらで心の中揺れ動いて決して単純な白王子じゃぁない。
そりゃぁサン・バルテルミの虐殺はイカンけれども。
どっちが悪でどっちが正義と言いきれないのが宗教戦争なんだよな~。
どっちも神様なんだからいいじゃん。
と、いうわけにはいかないのね。
私にはどうも、わからんわ~。
まぁ、もちろん純粋に宗教だけを争っているわけじゃなくて誰が権力を握るかで周りの国々の思惑をも巻き込んでの血で血を洗う時代だったのだろうけれど。
しかし前置き長すぎだ~。
そんなわけで感想はまたしても次回に。
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