スカステ視聴記録
師走でなかなかゆっくり観ることが出来ないのですがやっと念願の宙組「ヴァレンチノ」をCS鑑賞。
いやぁ~面白かったわ。
家で録画をみてると、うっかり寝てしまうこともしばしばなのですが、疲れていたのにもかかわらず一気に観てしまった。
この作品は初演バウホールも再演東京特別公演も観ていて主題歌の「アランチャ」は未だに大好きな歌。
TCAの音楽配信サイトから一番最初にダウンロードした歌のひとつ。
ちなみに1980年代後半の花組作品以外でこの時ダウロードしたのはこの「アランチャ」ほかに、シメさん(紫苑ゆう)の「蒼いくちづけ」とみねちゃん(峰さを理)の「エル・アモール」でした。
この作品は小池先生のデビュー作。
初演の時はたまたま知り合いのお嬢さんの初舞台を観にムラにいたので、事のついでにと何の気なしにこのバウホール公演を観たのですが、あまりの素晴らしさに翌日の大劇場公演を観るのをやめてバウホールの当日券をゲットし2回観た思い出の作品。
ほんとごめんね~。
カリンチョ(杜けあき)は二番手になりたて位だったかしら。
若々しさと野心が見え隠れする、そんな時期にピッタリの役柄。
ジューンのゆかしちゃん(美月亜優)は当時はまだずいぶん下級生だったはずなのにとても芝居が上手く、ヴァレンチノに思いを寄せながらもうっかり物分かりのいい女を演じてしまったがために、あっという間にエキセントリックな女性に彼をかっさわれてしまうという年上のインテリ女性を堅実に演じていました。
それから忘れられないのがナターシャを演じたなまこさん(明都ゆたか)
当時はまだ男役で、プログラムなどを見るととっても可愛らしい美少年。
でもその割には本公演でまったく使われていなくて・・・
下級生の頃はテレビ番組で主役(三銃士ダルタニアン)を演じていたというのにどうしてだろうと思っていたところ、突然の大人の女役。
しかも出てきた瞬間に息を飲むほどの美しさと色気だった。
今で言えばせしこ(大湖せしる)かしらね。
でももっともっともっと妖艶で宝塚の域をはみ出るくらいの色っぽさ。
ただし一言セリフをしゃべると
あぁ~、そういうわけで使われてなかったのね~。
と言うくらいの棒読みだったのだけれど・・・
もう、とにかくそんなことはどうでもよくなるほどの並外れた艷やかさだった。
なまこさんはその後女役に転向するのだけれど、せしこのように使われることはなかった。
やはり宝塚の女役にしてはなまめかしすぎたのかもしれない。
それに彼女の演技力ではそのなまめかしさを芝居に活かすことも出来なかった。
この役は再演ではゆきちゃん(高嶺ふぶき)が演じて、なまめかしいというよりも才能のきらめきを感じさせる強く美しい女性だった。
ニ番手になりたてで初々しかったカリンチョはこれがサヨナラバウ公演となり、すっかり男役の貫禄を身につけていたから、この強い組み合わせはとても素晴らしかった。
ジューンのともちゃん(紫とも)は好きな娘役さん。
いつも健気で、嫋々としているけど、時にはおきゃんな役も可愛かった。
ただその持ち味のせいか凛としたところが少し足りなかったかなぁ。
ちょっと痛々しいの。被害者っぽいというか。
退団直前のカリンチョよりも年上の大人の女性の包容力や知性と少女のように繊細な可愛らしさ。
そのどちらも同時に出せる娘役なんて、そうそういるもんじゃないわよね。
その点、再々演のすみか(野々すみ花)は素晴らしかった。
ゆうひさん(大空祐飛)の時折のぞく少年っぽさと大人の色気のアンビバレンツ加減にも助けられて、初演に観た時の感激が一気に蘇ってきました。
それからナジモヴァを演じたせーこ(純矢ちとせ)も良かったな。
尊大で大仰だけど、どこか憎めないところのあるロシア人の大女優をあの時代の退廃的な雰囲気もちゃんとまとわせて艶やかに演じていた。
初演は花鳥いつき、再演は誰が演じたんだっけ?
あんまり印象のない役だったのだけれど、演じる人の力で変るのね。
ナターシャのかいちゃん(七海ひろき)は予想していたよりはるかに良かった。
美しさという点では初演・再演にはとてもかなわないけれど、ナターシャという女性がどういう人なのか、一番納得のいく役作り。
エキセントリックで一見鼻持ちならないんだけれど、その裏に隠れた脆さ哀しさがみえてきて観る人は嫌悪感なくちゃんと共感できる。
この人はいかにも演技がうまい!という感じではないのだけど役の本質をつかむ天性のセンスがあるのかもしれない。
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