LIVE配信感想
抑制する愛って大好物なんです。
抑制に抑制を重ねてきたのに、その一瞬だけ制御が出来なくなってしまうのも、ものすごく心に刺さる。
というわけで「バロンの末裔」はまさにドストライクな作品。
前回のゆりか氏(真風涼帆)のエドワード/ローレンス考に引き続きキャスト感想を。
キャサリン♪かのちゃん(潤花)
とっても素敵でした。
大人っぽく馥郁とした女性だけれど、どこか茶目っ気も漂うのがかのちゃんならでは。
そしてそのしっかりとした目鼻立ち、固く結んだ口元からは意志の強さも感じられます。
初演の雑撃ちの丘ではゆうこちゃん(風花舞)の押し留めよう、押し留めようとしながらも崩れ落ちるように思いを口にしてしまうキャサリンに胸が震えましたが、宙組再演で奔流のように思いを吐き出すかのちゃんのキャサリンも胸を打ちました。
かのちゃんの力強い個性は、身も心も大きな包容力のゆりか氏によって更に生きてくる気がします。
本当にピッタリのトッブコンビだわ〜。
リチャード♪ずんちゃん(桜木みなと)
ずんちゃんはアナスタシア、ホームズ、バロンと3作連続でゆりか氏のコミカルなバディ役。
もう少しいろんな関係性が見てみたい気もしたけれど、その分安定感は抜群でした。
可愛いらしいぶぎちゃん(山吹ひばり)との相性も良かったわ。本当に愛らしいカップル。
初演のまみちゃん(真琴つばさ)&あつ(千紘れいか)のほうがちゃっかり度が高かったかしら?
ずんちゃん、ぶきちゃんはちょっと世間知らずっぽくって今後のホテル経営の手腕が心配な気もします。
でも今回のローレンスとキャサリンが割としっかりしてるから根本的な部分では軌道修正をしてくれそうだな。
ウィリアム♪もえこ(瑠風輝)&トーマス♪りんきら(凛城きら)親子
もえこちゃん覚醒かも!
これまでどことなく遠慮がちに見えたもえこちゃんですが、フェア且つ凄腕の若き銀行頭取という役を生きることで自信が溢れてきたように見えました。
スレンダーな長身に銀縁メガネが映えるわ。
歌の気持ちのよさは言わずもがな。
ちょっと気持ちが良すぎてあまりにも引っかかりがなく、聴き終わってしまうと、ここが!っていう印象が残りずらいところが逆に弱点かもしれない。
歌ウマは確かに正義なんだけど、正義って必ずしも正しいことだけじゃないし、正解がただ一つというわけでもないと思うのよ。
もえこちゃん、ブレイクスルーまでもうあと一押しだ。 頑張れ〜!期待しているよ。
というわけで、パパのりんきらさん。
彼にとっての正義(あ、歌の話じゃありません)はおトクな商売をすること。
安く手に入れた土地で莫大な収益を上げることこそ彼の正義です。
いやもう、りんきらさん素敵! 清も濁もまるっと飲み込む懐の大きさ。
ちょっとズルいけれど、どこか憎めない。
若い後妻さんにメロメロで鼻の下を伸ばしていても下品にはならないところも素晴らしい。
そうそう、そのサラちゃん(愛未サラ)が下級生とは思えない肝の座りっぷりだった。
美しいけれどファニーな雰囲気もあって面白い個性です。
しかし、かのちゃんといい、ひろこちゃん(水音志保)といい、サラちゃんといい、宙娘はものすごい美女が多いな。
美人だけれどただそれだけじゃなく、それぞれ全然別の強い個性を持っているところが素敵だわ!
娘役も男役も人材が充実していて本当に素晴らしい。
宙組の未来は力強く明るいわ。
余談
とにかく思い出の「バロンの末裔」なので、オープニングに遠くからバグパイプの音が聞こえてくるだけで涙でティッシュ2枚が必要になるというありさまだったんだけど、LIVE配信での鑑賞ということもあり今回の再演はとても楽しく見ました。
もっとも芝居中もずっと目に涙が溜まってて、下半分の画像がいつも歪んで見えてたんですけどね。
やっぱり「バロンの末裔」って私にとっては永遠のBEST1作品かもしれないわ。
それはつまり個人的な思い出につながっているからなのですが…。
恥ずかしいけどここで自分語り、いいですか。
宝塚の話ではないので出来ればUターンをお願いします。
ただ誰にも言ってないことをこっそりネットの海に流してすっきりしたいのですよ。
この初演を観る数年前の頃、とても気の合う友人がいました。
仕事関係で知り合った男性ですが、どういう経緯だったのか忘れたけどプライベートで電話で話をするようになった。
まだ家電話の時代です。大昔のことよ。
当時私は見合い相手と婚約中。婚約者とは全く話が弾まないのに彼とは延々楽しく長話。
だけど、あくまで仕事上の友人だった。
そう思っていた。そう思い込もうとしていた。だってもうすぐ結婚式なんだし。
それで、どうしたか。
彼を自分の親友に紹介したんです。
大好きな二人がもし結婚してくれたら、一生つながっていられる。そう思ったから。
ひどいですか?
しかし二人は特に付き合うこともなく、程なく彼は転勤。 そしてその後、結婚したと人伝に聞きました。もちろん私の知らない女性と。
そうしてつながりは永遠に失われてしまった。
私はあの時どうすればよかったんだろう。
婚約を破棄し、好きだと言われたこともないただの友人に一生近くにいてほしいなんてこと言えただろうか?
そもそもあの時、愛しているというはっきりした自覚さえなかったのに。
それでも失って初めて見えてくる自分の心。
だけどもうどうしたって取り戻せない。第一そのまま先に見合い相手と結婚したのはこの私だ。
そんなこんなの頃に「バロンの末裔」観劇。
観ててどうなったか察してくれぃ。
心の一番柔らかい場所にグサグサ刺さりまくって嗚咽が漏れるほど泣きながら観たわ。
まぁ、あれから30数年。
とうの昔に彼の顔も全く思い出せなくなってますよ。 あれれ?名前は何だったっけ?仕事上の付き合いだったから名字はさすがに覚えてるけど。
こんなロマンスとも言えない昔のおはなし。ここに晒して笑い話といたしましょう。
今回の「バロンの末裔」もグズグズ泣いてしまったものの、見終わった後には意外に気持ちがさっぱりしたのは、キャサリンを演じたかのちゃんの力強い個性もあったのでしょうけれど、私自身の思い出がそれだけ遠くになったって事だろうなぁ。
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