LIVE配信感想
月組メンバーそれぞれの芝居の確かさがこの均整のとれた美しい、いささか美しすぎるとも言える構成のこの物語に生き生きとした温かみと輝きをもたらしていたと思います。
だってたった一回のテレビ鑑賞なのに気になる人が山ほどなのよ。
月組ってどんだけ個々の能力が高いんだよ。
ではまずは北朝の人々から。
足利尊氏♪おだちん(風間柚乃)
楠木の才を知るのが主人筋の南朝ではなく敵方の北朝というのがなんとも皮肉よね。
おだちんの器の大きさよ!
人の才を知り、その才を活かすことが出来るのはやはり才ある者なのだと納得出来る知性と圧を感じます。
そしてその身の回りには花一揆という美少年達。
中でも見せ場が多いのがゆいちゃん(結愛かれん)で、その匂い立つような美しさと色気にくらくらと眩暈がするほどでした。
芝居もうまいし大好きだ。
高師直♪ゆりちゃん(紫門ゆりや)
潔癖で美少年侍らかした尊氏とは対象的に美少女に囲まれた湯殿のシーンから登場のゆりちゃん。
なかなかゲスではあるけれど、英雄、色を好むというか、こういう方面にエネルギッシュな人はそれだけ他方面でもバイタリティがあるというかなんというか。
けっして単なる悪人枠ではないよね。
人間、欲があればこそのし上がっていけるわけで。
そのロイヤルっぷりが定評のゆりちゃんだけど私が最初におぉ!と思ったゆりちゃんは実は「ルパン」でのこそ泥?の仲間だった。
良い芝居をする人だなぁってすごく印象に残った。
もちろんAFOのアホ兄も大好きだ。
そう!ロイヤルだけではないのだよ。
専科でも良い芝居を見ることが出来ると思う。楽しみだ。
湯殿の場面の師直お手付き(なんだよね?)の美少女の中に白河りりちゃんを発見。
とっても無垢で透明感あふれる少女なのに、どこか虚な瞳なのがなんとも痛々しくって、師直ゲスい。
もう一人わかったのが箱推し106期の一乃凜ちゃん。
ゆうきちゃん(蘭世惠翔)がいたぶられる様を冷ややかに見つめる残酷な表情に魔性を感じさせる少女。
この人芝居上手いぞ。
この美少女達を見るだけででも師直邸の異常具合が推し量れるというのに、その上更にさちか姐さん(白雪さち花)の空恐ろしさよ。
流石だわ!こわ〜〜。
弟の高師泰♪れんこんさん(蓮つかさ)
うまいな~。渋いな〜。好きだな~。
スッキリと知性的で、でもどことなく食えない感じ。
一筋縄ではいかない策士の佇まい。
北朝、人材に不足はないわ。
どう考えても北朝強い。
後醍醐天皇♪ヒロさん(一樹千尋)
南朝側ではとにかくこの人が飛び抜けて凄かったんだろうね。
なにせ日本史さっぱりなのでどんな人かは知らないけれどヒロさんの演技を見たらわかるわ。
武士に奪われた政の主権を取り戻そうとする恐ろしいほどの執念と手腕。
死んでからもマジ怖いよ。
3度目に出てきた時はびっくりしちゃって、ぎゃー!もう出てこないでー!ってホラー映画見ているような感じになっちゃったわよ。
後村上天皇♪ありちゃん(暁千星)
しかしあの父からよくもまぁあんなにやわやわと上品な息子が育ったものだわ。
と思ったらたんちゃん(楓ゆき)がお母様か!
そりゃ納得!
たんちゃんの滋味溢れた芝居。
沁みたわぁ。
さて、ありちゃん。
政情を見通す才がありながらも完全に父にマインドコントロールされて身動き取れない苦しさが痛いほど伝わった。
ラストの歌声もセリフも素晴らしい。
ありちゃんいつの間にこんなに立派になって。ウルウル。
と、しみじみしていたらショーでのタンゴ。
両足を細かく踏むステップが地団駄踏んでる幼児のようで思わず頬が緩んでしまった。
変わらんな〜。
たしか「カルーセル輪舞曲」のサンバステップでもジタバタしてたよね。
身体能力高いのに男役のダンスにおける色気というのはまた別物であるらしい。
ありちゃん大人の男まであともう一歩だ!頑張れ〜!
北畠親房♪やすくん(佳城葵)
南朝は正当な評価も登用も出来ないしょーもない公家集団なんだけど、まーぁ皆さん芝居が上手くて上手くて。
やすの嫌味な公家の感じも上手いんだけど後醍醐天皇が出てくる回想シーンでの息子の死のところがハッとするほど見事で。
え?今のセリフ誰?誰?
って思った。
さっきまでいけすかない公家野郎だったのに、そんな苦しみ抱えていたとは。
その息子北畠顕家♪るねくん(夢奈瑠音)
その頭身バランスといい、華麗な身のこなしといい、まるで絵巻を見ているよう。
後醍醐天皇による幻影?の場面に相応しい夢か幻のような美しさで、この美しい人の命が失われてしまったのか!という無残がくっきりと立ち上がります。
もう人材の配置が神がかっているよ!
さすがアテガキの上手い上田先生。
なんとまだまだ続くよ!
楠木家とその周りの人達も魅力的。
楠木正成♪まゆぽん(輝月ゆうま)
美しき楠木兄弟の父。
大きく優しく力強い。
序盤で死んでいるので良く考えれば出番はそれほど多くはないのに印象が強いのはさすがだ。
ラストの四條畷の合戦でのソロ歌が古くから歌い継がれてきた素朴な長調の歌なんだよね。雄々しくて温かい。
一族郎党あたたかく笑い合っていた時分の懐かしい歌の中で命を散らしていく楠木家の人々。
それゆえに泣ける。
いやこれはもう泣くしかないだろう。
楠木正時の妻百合♪くらげちゃん(海乃美月)
何事にも控えめで楚々と美しい妻。
夫からの温かい愛情に包まれて一番幸せじゃんと思っていたらむちゃくちゃ辛い結末が待っていた。
うぇーん!そうだったのぉー!
でもすごくわかる!
くらげちゃんだからこそわかる!
そしてショーのくらげちゃんもめっちゃ素敵だった!
特にタンゴ!
レトロなフィンガーウェーブも似合うし身のこなしも素晴らしい。
なんというかダンスのニュアンスもちゃんとレトロなんだよ。
ものすごくお洒落なモノクロの洋画を見ているような感じ。
あんな風に踊る娘役さん最近見ないですが、もちろん私は大好きだ!
周りの空気をふわりと包むような、空気の柔らかい抵抗を感じるような体の動かし方。
次回のお披露目がレトロな銀幕スターという事なので、ものすごく期待が高まります!
そうそう、くらげちゃんの弟が気になる若手男役のうーちゃん(英かおと)だったんだ!
最終的には北朝側に寝返り(いや君は悪くない。その判断は正しいよ!)そして四條畷の戦で義兄と対決する。
敵味方と別れた夫が躊躇う事なく戦えるようにと自死した姉の気持ちも、それを知った義兄の気持ちもどちらもわかりながら懸命に戦いそして死んでいく様が胸を打ちました。
どちらも悪くないのにー。涙。涙。
短い見せ場でしっかり戦の無常を表現できたのはさすがの実力だと思う。
うーちゃん今後の活躍を楽しみにしてるよー!
ジンベエ♪からんちゃん(千海華蘭)
書いても書いても終わらないよ!
月組どんだけ人材豊富なんだよ!
わかっちゃいたけどからんちゃんが素晴らしかった。
学もないただの人足?のジンベエすらちゃんと楠木正行の器を理解しているのに南朝の輩はなんなんだよー。
まぁ確かにジンベエは澄んだ目と心を持った男だ。
からんちゃんの芝居って透明なキラキラとした美しい何かが身体の中からこぼれ落ちてくるような、そんな感じなんだよ。うまく説明できないんだけれど。
屋台骨がある安心
あとはるう組長(光月るう)、なっちゃん(夏月都)だな。
この二人がいるから芝居が締まる。
さりげなく過不足なく、でも確かに支える月組の屋台骨。
こんなにもしっかりとした骨組みと幾重にも重なる多彩な人材で構成された月組。
もうこのメンバー全てが揃うことは二度とないとはいえ、これからも芝居の月組は安泰でしょう。
次回作は見に行けるかなぁ。
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