「BONNIE & CLYDE」観劇感想1 少女ボニー&少年クライド編

【2023-02-15】
観劇感想

初御園座でした。

劇場に入ると売店に美味しそうなものがいっぱい!

沢山飾られた赤い提灯と相まって、まるで縁日のようです。

こういう芝居小屋っていう雰囲気は本当に久しぶりで楽しいな。

けれど新幹線でサンドイッチを食べた上に早くに到着したのでカフェで時間をつぶしたりと既にお腹いっぱいだったのだ。

う~ん残念。きんつば食べたかった。

劇場グルメはまたの機会に~ということで座席に向かいます。

今回のお席、もう今年分のチケット運をすべて使い果たしてしまったというくらい前方だったんです。

でもここ傾斜が全く無いのね~。むしろ後ろに行くに従ってどんどん低くなっているように錯覚しちゃう。

椅子の配置も千鳥ではなくて前の人の頭がダダかぶりです。

けれどサイドブロックだったのが幸いし、芝居が始まると斜め方向ちょうど人と人の隙間に視線を向ける感じになったのでとてもよく見えました。

そしてこの近さで観ることで没入感が凄まじかった!

むき出しの感情や生々しい描写が空間のフィルターなしにそのままダイレクトに伝わってきます。

銀橋もないし、まるでシアタークリエくらいの劇場で見ているような気分。

もう手を伸ばせば届くようなところで物語が繰り広げられて完全に世界に飲み込まれていきました。

少女ボニー♪みちちゃん(愛陽みち)

開演アナウンスの後、何十発もの激しい銃声とともにボニー&クライドの最期が表現されるのですが、ふたりともピクリとも動かず、まるで時が止まったような不思議な静けさが感じられる意外な幕開きでした。

なので舞台で発せられる第一声は少女ボニー♪みちちゃん(愛陽みち)のとってもきれいな歌声なんです。

すごい!びっくり!

やはり外箱、しかもブロードウェイ作品。普段の大劇場公演とはひと味違う趣です。

夢見がちな少女ボニーの歌で空想のショーガールズが踊りだすと一気に舞台に躍動感が溢れていきます。こういうところはきっと宝塚ならではの演出ですね。

衣装がふわりとひるがえった瞬間に舞台から甘い香りも流れてきたんですよ。華やかだわ~。さすが前方席!

もっとも甘い香りがしたのはココだけで、物語が進んでいくとなぜか時々男性用の整髪剤のような匂いが…。男性客が近くにいらしたのかしら?それとも舞台から漂ってきたのかしら?今となっては謎ですが。

それはさておき、この少女がとても危なっかしい。

いえいえ歌の事じゃありません。

ボニーという少女がとてもとても危なっかしい。

しょっぱなからボニーの母♪あんこさん(杏野このみ)の立場で見てしまいましたよ。

ピンナップ風の写真を取ってくれるチョビ髭の怪しい男♪あっさん(麻斗海伶)と15歳でホイホイ結婚しちゃうなんてママは絶対許しません!ってもうピリピリしちゃった。

だけど、みちちゃんのこまっしゃくれた、そしてピンと張った強い歌声からは、この子はどんなに反対したところでママの言う事なんか聞かないんだってことがよくわかります。

本当に表現が上手いわ。ボニーがどういう子なのかと想像がいっきに巡りました。

華やかな世界に憧れているけれど当時としては大いなる田舎のテキサス、しかも西ダラスって場末なのかしら?ハリウッドもブロードウェイも遠いそんな場所からでは女優になるすべもチャンスもないよね。

いやそもそも彼女はチャンスがどうすればつかめるのか、ちゃんと考えたことなどないのかも。

自己顕示欲や承認要求が強くてもその夢をつかむための地道な努力はしてなさそうだな。

もちろん努力をしたってそれが報われる世界じゃないことは百も承知だけれど、おのれを磨かずに運がつかめるものでもないわよね。

ああぁぁ~もう、なんて危なっかしい!

案の定、場末のしがないウェイトレスの姿で大人のボニー♪あやちゃん(夢白あや)登場です。

少女のキラキラの夢から大人のシケた現実への切り替えがリアルだった。

あやちゃんはものすごく美人だけれど、どこかしら崩れた感じも漂わせていて、色目を使ってくるカフェの客に「死ねばいい!」と啖呵をきるくらいには荒んでる。

子供の頃に思い描いた未来に比べたらこの現実はあまりにもしょっぱい。いやむしろ惨めにすら思えてしまいます。

でもそれって誰もが覚えのある感覚じゃないかしら。

この歳になって実感するのだけれどキラキラした未来なんて結局のところ誰も手には入れられないのだもの。

芸能界みたいな華やかな世界に憧れたことはない私でも自分の未来がこんな風になるとは想像していなかったよ。

ボニーの生き方は平凡な人間からはかけ離れていくけれど、なんだか自分の身にも置き換えられるような感覚に襲われて最初から胸にグサグサきてしまいました。

少年クライド♪みわくん(夢翔みわ)

みちちゃんと共に冒頭からたくさん歌って躍動するのは少年クライド♪みわくん(夢翔みわ)。

箱推しの106期生。長く休演していて心配していたけど「蒼穹の昴」で復帰し、そしていきなりの大抜擢でうれしいです。

みわくんが歌うとガンマンたちが踊りだすのね。

歌ウマで知られるめぐちゃん(聖海由侑)のダンスがすごくかっこよかったのにときめいたり、カーボーイハットを目深に被ったぺっぺくん(紗蘭令愛)の口元がちょっとわたる(湖月わたる)に見えたりして気持ちが盛り上がっていきます。

みわくんもハリのある活き活きとした声。しかも歌が上手い!

だけどどこかに異物感があったのはなぜかしら?

そうだ!ライフルだわ。

当時の(今でもか?)アメリカではごくありふれた風景なのかもしれないけれど…。

本物のライフル持って一心不乱に「バーンバーン」って歌う少年クライドの姿になんだか背筋がザワザワしちゃったんだ。

ニワトリ殺しちゃうのもね。毎日の卵より目先の肉を取るという考えの浅さだけではない気がするなぁ。

だって唐揚げ食べることが目的だとしたらライフルで撃ち殺したりはしないでしょう。貴重なお肉が欠けちゃうよ。

農場の子ならば首をひねるか切ってしめるのが普通じゃないかな?お兄ちゃんのバックならきっとそうしたと思うわ。

だからクライドはニワトリめがけて弾丸をぶっぱなす衝動に駆られたのだとしか思えないのよ。

あれは絶対、口からでまかせの言い訳だ。ママにはわかる!と、ここでもクライドの母♪ななちゃん(沙羅アンナ)目線に。

それから、食料やお金をかっぱらうのではなくて自転車泥棒っていうのもすごく象徴的よね。

つまりは銃と車。

突き抜け走り抜けていく彼の衝動性が子供の頃から浮かび上がってきます。

みわくんの真っ直ぐな眼差しはとってもピュアで、だけどその透明感ゆえにどこか空虚。

クライドの心の奥を垣間見るような気がしました。

けれどもね。すっごく可愛いのよ!

八重歯が覗く口元も、よく通る高い声も。本当に可愛い。

男の子の可愛さってもう理屈抜きに母性をくすぐるのよね。

何をやっても、どんなに困らせられても、どうしようもなく可愛い。

そしてそれは成長したクライド♪さきちゃん(彩風咲奈)が魅せる愛嬌に見事に繋がっていくのだなぁ。

えぇっとぉぉ~~。

まだ開始数分までの感想しか書けてないんですが~。

どうしましょう?

色々思ってたことはあったのに頭の中でぐるぐるして全然吐き出せないわ。

とにかく凄かったのよ「BONNIE & CLYDE」

LIVE配信も見たけれど、行けるものならもう一度名古屋に行きたいよぉ。

そして、きんつば食べた~い!

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