LIVE配信感想
「The Fascination!−花組誕生100周年 そして未来へ−」と銘打たれた記念のレビュー作品。
ショーの後半では花組作品を彩ってきた名曲がメドレーとなって歌い継がれました。
6曲中実際に観劇したのは4作品。
私も半世紀以上生きてきたってことですね。
というわけで、そんな歴史の生き証人として、作品の思い出などを記しておきたいと思います。
EXCITER‼︎
2009年「EXCITER‼︎」より
作・演出は藤井大介
私が観たのは翌年の真飛・蘭乃コンビでの再演でした。
15年ぶりに宝塚観劇を再開させて初めて観たショーです。
バチッ!バチッ!バチッ!は盛り上がるし、首を横にクイッってするタイミングが絶妙。
ああいう前に突っ込んだリズムって昔にはなかった気がする。
レビュー、それから大人っぽいジャズやコテコテのラテンショーなどで育った私には
「おぉぉぉ~今の宝塚ってこんな感じなんだ!」
って新鮮な驚きだった記憶があります。
全ツで何度も再演されたし、みんな大好き。
平成の花組の代表曲ですね。
歌うのはホッティ(帆純まひろ)。
若手の男役・娘役を引き連れて、もうすっかり頼れるお兄さんです。
スポット・ライト
1968年「マイ・アイドル」より
作・演出は鴨川清作
那智わたるサヨナラ公演のメインテーマ曲とのこと。
歌うのは、キョンちゃん(航琉ひびき)、ふじもん(舞月なぎさ)、ゆかちゃん(峰果とわ)。
キョンちゃんは柔らかで、ふじもんは明朗で、ゆかちゃんは明快。
三者三様の声でのソロがあって楽しい。
作品は当然ながら見たことないですが、いかにも昭和30年代って感じのポップな曲です。
子供の頃のテレビCMを思い出す感じ。
でも資料を見るとアダモ、レイチャールズ、アフリカのジャズミュージシャンのヨナス・グワングワなど、シャンソンやジャズがてんこ盛りのショーだったらしい。
作・演出の鴨川清作は「ノバ・ボサ・ノバ」を作った人。
当時としてはかなり斬新なショーだったんじゃないかと推測されます。
「ノバ・ボサ・ノバ」は何度か再演されましたが、他の鴨川作品の再演ってないなぁ。
どんな世界観なのか見てみたいわ。
ラ・ラ・フローラ
1984年「ラ・ラ・フローラ」より
作・演出は横澤英雄
主題歌は宝塚らしいけれど名曲というほどメジャーな歌ではないので、なぜこの曲が選ばれたのかは謎だけれど、大・大・大好きなレビューでずいぶん通いました。
歌うのはりりかさん(華雅りりか)、うららちゃん(春妃うらら)という花組きれいどころのお姉さま二人。まさに花の女神。
TV鑑賞だからご機嫌に一緒に歌ってたらサビの盛り上がる部分を飛ばしたアレンジで急に終わってしまったわ。あらら。
レビューの王様と称された白井鐵造への追悼作品です。
もちろん洋物のレビューでしたが、みえこさん(松本悠里)の日舞のシーンがありましたっけ。
ルコさん(朝香じゅん)の歌に合わせ白い椿をイメージしたみえこさんの美しい舞。
不思議と違和感がなくマッチしていて、レビューって奥深いなぁと感動した覚えがあります。
それから、なつめさん(大浦みずき)、ひとみちゃん(若葉ひろみ)のダンスシーンもありました。
踊り子に恋するピエロの物語で1961年上演の「サルタンバンク」へのオマージュです。
当時なつめさんは2番手だったけれど、ひと場面メインでトップ娘役のひとみちゃんと踊ることも多かったな。
そして忘れられないのがフィナーレ前のエイトシャルマン。
これがかっこよかった!
男役・女役混じった編成で特に印象深かったのがソルーナ(磯野千尋)、ミオリさん(御織ゆみ乃)、そしてヤンさん(安寿ミラ)。
ダンスがめちゃめちゃ激しくって滾りましたよ。
ちなみにこの場面でヤンさんに惚れたんです。
もちろんエイトシャルマンなので羽つきのダルマ衣装だったんですが。
この時の使用曲、いまでも覚えてるわ。
よく聞く曲なんだけれどな~。題名がわからないのよ。
僕の愛
1977年「ル・ピエロ」より
作・演出は酒井澄夫
ベルばら一大ブームのあとの作品ですが残念ながら観ていません。
当時は宝塚に全然興味なかったんだよね~。
というかベルばらの舞台中継のテレビを見た時はむしろ好きではなかった記憶すらある。
宝塚はベルばらみたいなものばかりやっていると誤解していた。
この頃から劇場に足を運んでいれば、芝居もショーも多彩であることを知り、豊かな音楽にも触れることができたのに。
安奈淳さんも汀夏子さんも鳳蘭さんも観ることができたはず。
あぁ、惜しいことをした。
(榛名由梨さんは専科異動後だけどちょっとだけ観てます。)
歌うのはさおた組長(高翔みず希)、あおい副組長(美風舞良)。
さおたさんはとても大切に歌っていて、この曲へのリスペクトが感じられます。
あおいさんはさすがだ~。
組長引き継ぎ式みたいでジーンとしました。
ある愛の伝説
1983年「オペラ・トロピカル」より
作・演出は草野旦
この作品で宝塚に、特に花組のショーにドハマリしたといっても過言ではありません。
労働安全上危険すぎて再演は絶対不可能な伝説の大階段出しっぱなしショー。
大階段であんなに踊るなんて最初はさぞ恐ろしかったと思うのですが、おそらくそんな恐怖も忘れるくらい出演者はみんなハイになってたんじゃないかな。
それくらい舞台から放たれるエネルギーが凄まじいショーでした。
この主題歌をマイティ(水美舞斗)、れいちゃん(柚香光)から歌い継ぐのが、りりちゃん(若草萌香)、いとちゃん(糸月雪羽)という歌うま娘役さんなのがよいわ。
りりちゃんの声はまろやかで、いとちゃんはちょっぴりハスキー。
いとちゃんの声って大好きなの。独特の響きがあるよね。
オペラ・トロピカルでもエッコさん(潮あかり)、カミコさん(美野真奈)という歌ウマ娘役さんがデュエットする場面がありました。
エッコさんはエトーワールがぴったりなクラシックタイプ、カミコさんはジャズが上手くてコケティッシュな感じ。
この二人がものすごい掛け合いとハーモニーで歌ったのがとても印象に残っています。
そこからミッキー(順みつき)のエル・クンバンチェロへとなだれ込んでいく長大な曲だった。
あれは素晴らしかった!
【関連記事はこちら】>>>
「HOT EYES!!」大階段の何がいけなかったのだろう 「オペラ・トロピカル」と比較して
心の翼
1985年「テンダー・グリーン」より
作・演出は正塚晴彦
この曲だけショーではなくお芝居からのチョイスです。
大劇場のみの上演でしたが観に行きましたよ。
正塚先生大劇場デビュー作。
賛否両論あった異色作ではあったけれど、もちろん私は大好きだった!
今もね、ちょっとギョッとするような作品や場面があると、チェック体制はないのか?って話題になるけれど、そんな検閲みたいなものは無いほうが絶対いいと思います。
だって誰がするの?頭の硬いお偉いさんがチェックなんかしたら、斬新なもの、豊かなものは絶対生まれてこないと思うよ。
若い演出家達が忖度やら萎縮なんかしたら、そっちのほうが大損失。
ま、観客の批判を受けて軌道修正があったりするけれどね。
そういうトライ・アンド・エラーでもいいんじゃない?
この作品だって当時はずいぶんな言われようだったし、正塚先生はそれから4年間も大劇場の登板がなかった。
でも「テンダー・グリーン」はとても感動したの。本当に素晴らしかったの!
だから「心の翼」はこうしていつまでも心に残る、大切にされる曲となった。
そしてこの曲を歌う時には是非!みんな手をつないでつながっていて欲しいのだ。
芝居のラストがそうだったのよ。
今の花組生が手を取り合ったのを見た瞬間に涙が溢れたわ。
この名曲を作ってくださった正塚晴彦先生、高橋城先生。
ありがとうございます。
たくさんの想い出と共に一生の宝物です
【関連記事はこちら】>>>
奇跡の名シーン「テンダー・グリーン」1
心の翼の人々「テンダー・グリーン」2
コメント